研究紀要第62号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -018/049page

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  父である私が厳しく諭すべきだったと思う。」

 母 「私はそのとき,カッとなっていきなり子供を叩いてしまった。兄の財布から取ったのはどうしてなのか,子供の心を聞かなかった。」

 両親 「本人は末子だったもので,甘やかし,わがままいっぱいに育ててきた。」

 父 「特に父である私が本人の行動に対して甘かった。本人が他人のおもちゃを黙って持って来ても,『まだ小さい子供なんだから』などと大目にかかわってきた。それが,良い・悪いのけじめのない子供にしてしまったのかも…。」

● これからは,日常生活の中で,子供の話に耳を傾けること,いつくしみながらもけじめのある態度で接するようにする。

  2 本人

● 「父が家にいないので寂しい。母はなにかにつけてガミガミいう。でも寂しいから母のそばにいたい…。でも,母はかまってくれない。」

● 運動をする一バドミントンをする。しかしシャトルを追いかけない。元気がない。

 (3) 第4回面接ー並行面接ー

  1 両親

● なぜ兄の財布からおかねを取ったかを考える。

 母 「兄や姉はすなおで勉強もよくできる。本人はわがままで,勉強もよくできない。それで,つい,『兄や姉を見習いなさい』などとたしなめることが多かったように思う。」

 父 「兄,姉と本人が仲良くないのはそのせいかも知れない。」

 母 「それで本人は兄姉を憎く思い,兄の財布からお金を取り,兄を困らせたわけね…。」

 父 「そのときの本人の心を理解せずに,怒ったり叩いたりした……本人はかわいそう…。」

● これからは,子供を公平に扱う,兄や姉と比較しない。体でかわいがる努カをする。

  2 本人

● 「このごろ,父は家にいることが多くなり,いっしょに遊べるので楽しい。母もガミガミ言わなくなり,なんとなくやさしくなった…。」

● 運動をするーバドミントンをする。シャトルを追う動作にも積極性が見られるようになる。

 (4) 第5回面接ー並行面接ー

  1 両親

● このごろの本人の様子について

 父 「本人の態度が明るくなり,父や母に話しかけてくることが多くなってきた。」

 母 「兄や姉との比較を一切言わないように努力しているせいか,兄や姉とのいさかいが少なくなってきた。」

● 母と担任との連絡ノートについて

 母 「監視や規制のための連絡ノートでなく,本人を認め,ほめ,励ますノートにしたい。」

● これからは,遊び場や遊び相手の制限や禁止を解除してみよう。このことは,本人の誕生日を契機にし,「人に迷惑をかけない」などの,父との固い約束をかわし,自律を促してから実施する。また,生活の制限を解いた以上は,全面信頼の態度で本人に接するようにする。

  2 本人

● 「母が病気のとき看病した。ほめられたのでとても嬉しかった。お兄ちゃん,お姉ちゃんと台所の仕事をした。とても楽しかった。」

● 本人の希望によりプレールームで遊ぶーガンダムなどの強い人形が,弱い人形を助けるなどの遊びが見られる。

 (5) 第6回面接ー並行面接ー

  1 両親

● このごろの本人の様子について

 母 「連絡ノートの内容を,"本人への賞揚"を主にしたものに変えてからは,自分から連絡ノートを母に見せるようになった。」

 父 「遊び場や遊び友達の制限を解いてからは見違えるように明るく,伸び伸びしてきた。『人に迷惑をかけない』という父との約束をしたせいか,遊びの外出から早く帰るなど,自律的な生活が目立ってきた。」

● ここ2か月問,盗みの行為が見られないこと


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