研究紀要第62号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -022/049page

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 (2) 病気治療への関心と意欲を向上させる。

 (3) 夫婦関係の調和・連合を図る。

 (4) 夫婦関係の調和・連合を基に,親子関係の調和をはかる。

 夫婦関係の調和・連合が図られれば,母は安定した気持ちで本人を理解することができるし,愛情をもって接することができる。

 それによって親子関係が改善され,本人の情緒的な安定が図れる。情緒的な安定を基に自己理解を深めることができる。その結果,問題行動が改善されるものと考える。

7. 指導援助の経過

(1) 身体症状(病気)に対して

 本人が退院するにあたって,当初,母は家庭での治療に自信がなかったが,カウンセリングを受けるとともに,医師の定期的な指導によって家庭治療を続けている。本人は,それによって日常生活に支障はみられない。

(2) 情緒の安定に対して

 当初は,ラポールを図るためにも運動療法と並行しながらカウンセリングを続けた。

 「姉弟の中でけんかになると,いつもきまって『あなたは,大きいんだから』といわれて,おこられたり,たたかれたりしていた。にくらしいときもあった。」

 「お母さんは,すぐに約東を忘れてしまうんです。それをごまかそうとしたり,言いわけをする。でも私にはそれを許しません。」

 「自分は,病気を治そうと思っているし,約束を守ろうとするんですが,なかなか実行できずに苦しむときがあるんです。」

 母への非難と母親不信の言葉が多いなかにも自らの病気治療への苦しみに耐えようとする姿がみられ,自分をそれなりに見つめようとしている。

 医師の指導として,毎日できるだけ規則正しく活発な生活をさせることと,運動は制限が無かったので,運動療法としてトランポリンとバドミントンを実施した。

 基本的生活習慣を身につけさせるために約束を守ることと準備や後始末をはじめ,使用上の注意やルールについては特に指導上配慮をした。回を追うごとに自主的にとりくみ,ルールを守るようになっている。

 行動療法として,「トークンエコノミー」を実施した。一週問を一区切りに,約束が守れたら賞として「小遣い」をあげるということで実施した。

 「約束ごと」は,
● 帰宅時刻を守る
● お手伝いを一日一回はやる
● 日記をつける

 しかし,約束が一度破られた週を境に,それ以後本人が言い出すまで小遣いが渡されなかった。その後,このような仕置きとしての取り上げが続き,トークンエコノミーが理解されなかった。

(3) 夫婦関係の調和・連合を図る

 当初,母は,

 「夫は,帰りが遅い時もありますが,夕食の時に晩酌をやるんです。すると子供と話をすることもなく寝てしまうんです。」

 「夫は,朝は子供たちより遅くても問に合うもんですから,子供たちが出かけてから起きてくるんです。せめて一緒に食事ぐらいしてもらいたいんです。」

 「夫は,私の話をろくに聞かないで,『それは,おまえが悪いんだ。』と,私のことを子供たちの目の前で非難するんです。ですから,子供たちに対してしめしがつかないんです。」

 やがて,父は,

 「妻がうまくかかわれなかったり,ついおこってしまったり,やさしい言葉を子供にかけられないのは,妻がイライラしているせいだと思うんです。」


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