研究紀要第62号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -024/049page

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  事 例 3 (中学校 1)

           女子生徒の集団いじめの事例

1. 主訴   集団いじめ

2. 対象   中学校2年 女子

3. 問題の概要

 小学校高等学年ごろまで,はっきり意志表示ができない,学習が遅れがちであるなどで仲間はずれにされたり,罵声を浴びせられることが多かった。

 中学校入学後も馬鹿にされたり,家族から冷たく扱われるからとつっぱりグループに入り,グループの何人かと勉強のできる友だちやスタイルのよい友だちを便所に呼びだして頭髪をひっぱったり,こづいたりしていじめを繰り返した。また,先生に注意されると友だちの帰りを待ち伏せして「先こうにチクッタろう」と集団でなぐったりした。

 更に,グループでスーパーを徘徊して歩いたりシンナー吸引,喫煙などを繰り返した。両親からそれらの行為をとがめられると家出や自殺を図ったりした。

4. 資料

ー生物的次元ー

● 身体的発達・特徴

 出生時体重2,340g,ほとんど混合栄養,発育不良で話しはじめも遅い。

● 身体症状

 幼児期から小学校低学年まで時々ひきつけをおこし。同時期まで月1回の夜尿があった。

ー心理的次元ー

● 知的側面

 学業成績は小学校時代下位であったが運動面は優れていた。中学生になると更に成績は下降し,学習内容の理解も困難になり意欲も失われる。

● 習癖

 幼稚園入園前指しゃぶりやつめかみをしていた現在も織プラスチック定規などをかむ

● 対人関係

 保育所時代から友だちと遊ぶことができず,幼稚園のころは帰宅すると母にまつわりつくことが多かった。母は内職や弟の世話でその思いを満たしてやることがなかった。

 小学校入学後も母が勤めにでることで愛情が満たされない状態が続いた。学校では級友からきたないとか,幼稚っぼい人だからと仲間に人れられないで常に孤独な思いをしてきた。

● 性格

 幼児期から周囲の人の関心を求めたり,不本意な行動や他人の言いなりになる行動が多かった。少しのことでも気にし感情的になり易い。

性格検査(YG)
性格検査(YG)

 情緒不安定,社会的不適応,非活動的,非主導的な面が強い。Eタイプである。

● CMI健康調査表

 神経症判別図は4領域,自覚症プロフィールでは,身体的自覚は疲労度だけ高い数値であるが,精神的自覚では不適応,過敏,抑うつ,怒りに高い数値が見られる。


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