研究紀要第62号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -028/049page

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  事 例 4 (中学校 2)

     無断外泊,家出をくりかえした男子生徒の事例

1. 主訴   家出

2. 対象   中学校3年 男子

3. 問題の概要

● 小学校3年の終わりごろから家出を始め,以後両親に叱られたりすると度々家を飛び出す。

● 中学校1年ごろから喫煙,シンナー吸引。

● 中学校2年のとき,深夜徘徊,オートバイ運転などで警察に補導された。

● 中学校3年になり,教室から抜け出す行為もみられるようになった。

4. 資料

(1) 初回面接一並行面接一

 1 本人

● 時々家出する。小学校4年のころからもう10回以上もしている。姉ともよくけんかする。

● 学校から逃げ出すことがある。頭がボーツとしてわけがわからなくなることがある。

● 本人のみた家族システム・力動

本人のみた家族システム

 ・分離型の傾向,ただし,同性同志が結びついているのが特徴である。

 ・父は会社員,母は主婦,長姉は大学生,(長期間別居中),次姉は高校生である。

ー本人の行動を解離反応と疑い,家出と教室抜け出しの状況を時間の経過に従って詳細にきく。かなり正確に自分の行動を説明できた。面接中絶えずつめをかむ。

 2 両親

● 小学校4年の初め,あることで母が本人を叩いたことで家出。一晩野宿して帰宅。中学校1年から喫煙を始め,現在1日20本位吸っているようだ。時々シンナーもやっている。

● 小学校1年のとき,父母離婚,3年の末に,父,現在の母と再婚。その問,通いの家政婦が世話をしていた。

● 父,現在の母とも継母に育てられた。父「継母は厳しかった。かなりたたかれた。」,母「継母が来て,4人の弟妹が生まれ子守りばかりさせられた。つらいことばかりだった。」

 (2) 第2回面接 ー並行面接ー

 1 本人

● 最近の家出の動機,「父に,『勉強しろ』と言われ,頭に来ていた。次の朝,起きたくなかったので寝ていたら,アレ(母親のこと)に無理に起こされた。おもしろくないので家出。」

● 家はおもしろくない。家を出るときは,カーツと頭に血がのぼっているが,意識がないということはない。

 2 両親

● 前回の面接により,今までの養育態度を反省して細かく干渉しないようにしたら,本人の気持ちがほぐれてきた。

● タバコとシンナーをやめない。

ー解離性のヒステリーではない。微細脳機能障害症候群(MBD)特有のぎこちない態度や話の抽象化のしかたに気づく。学校へ教育相談の関係に入ったことを連絡し,これから連携して指導援助にあたることを確かめ合った。

 (3) 第3回面接ー並行面接ー


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