研究紀要第62号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -030/049page

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る。その過程で,家族の本人へのかかわり方を変えさせ,家庭での本人の情緒の安定を図る。

学校では,学級担任が学校のきまりや社会におけるいろいろな価値感について話し合いを深める。また,本人の所属する集団への指導援助を継続して進めていく。

7. 指導援助の経過

 (1) 第5回面接ー両親との面接ー

● 息子が家出した。数日前から危いと思っていた。家でシンナーを吸っているのを見つけ,両親,姉が強く叱った。

● 両親,姉が本人に不用意な言葉を吐く。

ーこの日,本人の問題を改善するために,家族全員参加の家族面接を提案し,同意を得た。

 (2) 第6回面接ー家族面接ー

● 父,母,次姉,本人(弟),教育相談部2名

ー今,皆さんの家庭にはどんな問題があるのか。

 姉 「弟がシンナーをやったり,悪いことばかりしている。注意されると反抗し家出する。」

 弟「僕は何かいわれるとカーツとなる。」

 母 「注意が3人で1人に行く。」

 父 「むずかしい時期だが,弟もだんだんよくなってきている。」

 姉 「父は弟をもっと叱った方がよい。悪いことをしても遠慮しているところがある。」

 父 「それはあるかもわからない。叱ってもよくはならない。だが,叱る時は叱ってる。」

 母 「学校や他の人に迷惑をかけている。」

 弟 「僕には何もいわないでもらいたい。」

 姉 「弟はおかしいことを平気でやっている。気になるから注意する。」

 父 「私はかまわないといわれているが,重箱の隅みたいな所をつつきたくないのだ。」

ーそれでは,どんな風になったらよいのか。

 父 「愛情の豊かな家庭になればよい。弟も家出やまずいことをしなくなるだろう。」

 姉「父のいうことが正しいとは限らない。もっとよく話し合いをする時間が欲しい。」

 母 「お互いに傷つけ合わない家庭になる。きれいごとはもう沢山。」

 弟 「僕が少しずつ悪い所をなおしていく。」

ーそれが実現したら,どんな感じになるか。

 母 「からだがよくなる。今まで家を留守にするのが恐かったが,趣味の会に出席できる。」

 姉 「普通の家らしくなる。」

 父 「波風がが立たなくなる。明るくなる。」

 弟 「問題がなくなり,気分がよくなる。」ーそれが達成できたら・本人(弟)にどんな変化が起きるか。

 父 「本来持つカが発揮できるようになる。」

 母 「嘘をつかなくなり,家出もしなくなる。」

 姉 「素直になり,短所がみえなくなる。」

ー今,その変化を妨げているのは何か。

 姉 「家族が一緒にいる時間が少ない。」

 母 「夫(父)と私の問題だ。」

 弟 「僕が行いを改めない。」

 父 「私の家父長としての問題だ。」

ーそのためには,何をするか。

 父 「今日のような話し合いを続け,一つ一つ問題を片づけていこう。そうすることによって,家族全員のきずなをかためよう。」

 全員了解。

● 家族面接後,箱庭療法

箱庭療法
画像1

本人,「1 囲われている。
2 怪獣が内を監視。
3 この後,柵をといて,4匹が1つになる。」
(家族の現状を投影。しかし,家族療法の成果により,1つになろうとする意欲をみせている。家族をはじめ,他からの影響を受けやすい性格像も示している)

 (3) 第7回面接ー家族面接ー

● 出席者前回と同じ。


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