研究紀要第62号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -032/049page

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 事 例 5 (中学校 3)

       男子生徒の不純異性交遊の事例

1. 主訴   不純異性交遊

2. 対象   中学校3年 男子

3. 問題の概要

 中学1年の秋,親に内緒で転部したある運動部の合宿時から喫煙,頭髪のソリ入れなどをするようになる。

 中学2年では,服装違反を繰り返し部顧問と衝突し,教師への反発もみられた。

 中学3年になって,部活動でめざましい活躍をする一方,仲間の中心的存在として授業妨害や器物破損,対生徒暴力等を繰り返したり,仲間の家でディスコ,喫煙,飲酒をするなど,夜遊びが続き,帰宅は毎日深夜に及ぶ。そして,問題行動をもつ同学年の女子生徒と性関係をもつに至った。学習意欲も著しく低下し,上位の成績が急速に下降した。

4. 資料

ー生物的次元ー

● 身体的発達状況

  出生時体重4,100gの過胎児。母乳とミルクで育ち,発育良好。第二次性徴の発現は早く,小学6年の夏である。

● 運動・行動

  身体が頑強で,すべての運動能力にすぐれている。

ー心理的次元ー

● 知的発達

  知能偏差値は58である。小・中学校とも成績上位。中学3年の5月ころから学習意欲が減退し成績も下降傾向を示す。

● 対人関係の特徴

  小学生の時期は,年上の男子とよく遊び,しっかり者で皆からかわいがられる。両親に反抗するようなことはなかった。

  中学校に入って,5,6名の男子グループのリーダー的存在になり,さまざまな不適応行動を示すようになった。その過程で,髪の脱色,万引,遅刻早退,家出等を繰り返す同学年の女子生徒と交遊を始め,3年桂の5月ころから性関係をもった。それは,共に「ツッパリ」であり,相互に引き合う関係でもあった。

● 性格・情緒

  小学校中学年までは,従順,明朗であり,高学年以後,リーダーシップを発揮する。

性格検査(YG)
性格検査(YG)

  A"型で,性格の可変性が著しい。現在は,目だつことをしたがり何らかの理由から不適応感を強くいだき,気分がいらいらした状態である。

バウムテスト
バウムテスト

 用紙からのはみ出し,つめのよう


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