研究紀要第62号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -036/049page
事 例 6 (高第学校 1)
バイク窃盗をした男子生徒の事例
1. 主訴 バイク窃盗
2. 対象 高等学校1年 男子
3. 問題の概要
● 小学3年から学習成績が低下し,両親にテストの結果を隠すようになった。
● 中学1年ごろから何事につけ両親に反抗し,夜間外出や喫煙をするようになった。
● 高校では,入学当初から学習意欲が低く,遅刻,早退,欠席が多く,登校しても,頭痛や腹痛を理由に,保健室で過ごすことがある。また帰宅後は,中学からの仲間と夜遅くまで遊び,帰宅は深夜に及ぶことが多い。さらに,バイク窃盗,シンナー吸引で警察に補導された。
4. 資料
ー生物的次元ー
● 身体的発達・特徴
小柄でふっくらしている。脳波の異常なし。(高校1年時検査)
● 睡眠
小学3年ごろから現在まで入眠困難な状態が続いており,時折,金しばりになる。
● 身体症状
小学3年ごろから,アイチック,中学から現在まで,肩すくみ(肩のチック)が続いており緊張場面では特に顕著にあらわれる。
また,中学3年ごろから,登校時に時々,頭痛や腹痛を訴え現在まで続いている。医師からは精神的なものが原因となっていると診断された。
ー心理的次元ー
● 知的側面
知能偏差値は51である。学習成績は,小学校低学年までは普通であったが,中学年から低下し,中学校では下位になった。
● 対人関係
幼児期から一人遊びが多かった。中学1年ごろからツッパリグループに所属し,現在もその交友関係が続いている。
● 性格・情緒
小学校低学年までは素直であったが,中学年ごろから,強制的に勉強させられたことから,口には出さなかったが,両親に僧しみの感情を抱いていた。
中学時代は,家庭でのけ者にされている感じを持っていた。
性格的には,神経質,自己中心的,攻撃性,軽卒さがみられる。
ー社会的次元ー
● 家族構成
● 家族関係