研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -003/046page

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が醸成されていくといえよう。
 すなわち,集団と個のかかわりの中で児童生徒の連帯感が培われていくといえる。

[A 図]
A 図

A図のように集団の成員である児童生徒一人一人(個人)が,集団としての目標を正しく理解し,個人的要求や欲求が満たされ,心理的に結びつき,集団としての目標達成に向かって努力していく過程で,集団と個人,個人と個人の結びつきがより強固になっていくと考えられる。
 集団における個人と個人のかかわり,集団と集団とのかかわりを表してみると,B図のようになるが,集団と個,個と個,集団と集団のいずれの場合も,斜線を施した重なり合う部分が拡大すればするほど,連帯感が強化していくといえる。

[B 図]
B 図

 また,連帯感は,「集団への所属感」「集団成員間の親和感」「集団の目標志向性」の要因を集団の成員が,ともに持ち合っている感情的態度であるが,三つの要因を同じように共有しなければ連帯感が成立しないということではない。
 例えば,三つの要因の中で,とくに,「目標志向性」に重点をおいて指導していく場合や,「親和感」から主として結びつき形成された集団の場合であっても,集団としての活動や体験をしていく過程で,他の要因も必然的に高まっていくと考えられる。
 すなわち,C図のように,三つの要因は個々に存在するのではなく,それぞれの要因が相互補完の関係にあるといえよう。

[C 図]
C 図

 したがって,C図の場合も,A,B両図の場合と同様に,重なり合う部分の拡大を目指していくことが,連帯感の育成につながっていくととらえることができる。
 さらに,これらのことから集団によって成員の連帯感が高められ,成員の連帯感によって集団が高められるということになるし,小集団の高まりが大集団への高まりへと波及し,大集団が児童生徒各個人を高めていくという循環作用を通して,連帯感がより強固に育っていくということができる。


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