研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -005/046page
3. 教師のみた児童生徒の連帯感
実践研究を進める上での参考とするために,児童生徒の指導に直接かかわっている教師が,児童生徒の連帯感をどのようにとらえているかを調査した。
調査対象教師は,6月から8月までの3か月間に,当教育センターの講座に参加した457名(小学校314名,中学校143名)である。
設問は,前述の連帯感の概念をもとに作成し記述式を中心とした。
この調査により,次のような結栗が得られた。(1) 学校生活における児童生徒の連帯感の有無
連帯感の有無については,各方面から指摘され,その欠如が憂慮されているが,調査では次のようなことがあげられている。
○学級意識,仲間意識が不足している。
○協力,助け合い,思いやりの心に欠ける。
○自己中心,自己主張,雰囲気こわしがしばしばみられる。
○作業や奉仕活動では,取り組みにばらつきがみられる。
○横のつながりは比較的みられるが,縦のつながりは弱い。
○悪いことまでかばい,かくす傾向がある。(2) 学校教育における連帯感を育成する場
連帯感を育成する場としては,各教科・道徳・特別活動はもとより,登校から下校までの学校生活のすべての場をあげている。
これをさらに細分化してみると,次のように分類することができる。
1.学校・学級経営全般を通して
○グループ(班)活動
○人間関係
○目標実現への努力
○集団活動
○リーダーの育成など
2.各教科を通して
○グループ(班)学習
○音楽,図工・美術,体育などの学習
3.道徳教育を通して
4.特別活動を通して
○児童(生徒)活動
・学級会活動
・児童(生徒)会活動
・クラブ活動
○学校行事
○学級指導
5.創意を生かした教育活動を通して
6.その他の活動を通して
○清掃(縦割り清掃)
○部活動
○集団登下校
○業間の活動及び遊び
○給食 など(3) 児童生徒の集団生活をどのようにとらえているか。
目標志向性が希薄であるといえるが,集団の目標が,集団の一員としての自覚に基づいて,成員一人一人の目標としても受け入れられるという,児童生徒一人一人の,目標設定から計画・実践までの共通理解の不十分さがうかがわれる。