研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -009/046page

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事例 1

学級会活動の係活動・集会活動を通して連帯感を育てた実践例 A小学校

1. 実践の意図

 日常の集団生活の中から,児童の問題点をとらえてみると,
○ 仕事や課題があっても積極的に取り組まず,だれかがやってくれるだろうと考え,自己主張もせず,常に仲間の後についていく者
○ 自分の都合の良い時だけいろいろなことに熱心に取り組み,思うようにならないと投げ出したり,不満を口に出したりする者
が意外と多く目につく。
 なわち,学級への所属感や仲間意識が乏しいことが,共通の課題として考えられる。
 そこで,このような課題を解決していくためには,「児童が自分たちの学級生活を改善しようとする意図の下に,自発的・自治的に学級生活に関する諸問題を話し合い,その解決を図る活動及び学級内の仕事の分担処理に関する活動を行うことによって,学級集団の一員としての自覚を一層高め,健全な自主性や社会性を養い,個性の伸長を図る。」ことをねらいとした学級会活動.特に係活動と集会活動を中心とした活動を通して,集団で生活する楽しさ,さらに成就感や満足感を児童一人一人に味わわせることが大切であると考える。


2. 実践事例

(1) 実践の構想
1.児童の現状
 係活動全体に関する意識調査の結果は<表1>の通りである。これらのことから,係活動の問題として次のようなことがあげられる。

ア 自分から進んで希望した係に所属し,役割の分担も行うが,何のためにやるのかという目的意識が弱く,しかも,いつ,どんな方法でやるかといった具体的な計画がなかったため,積極的な活動があまりみられない。

イ 活動時間が定まっておらず,他の活動と重複してしまうことが多かった。そのため,係内での話し合いが少なく,成員の協力による創意ある活動がみられなかった。また,一部の児童のみが活動している係もみられる。

ウ 係間の相互理解が不十分なため,係単独での活動が多く学級全員のものとなっていない。
<表1> 学級会係活動に関する意識調査
                (男21,女19) S.60.7
項   目 はい%
仕事を工夫してやっているか 31.7
仕事に進んで取り組んでいるか 39.0
めあてをもって活動しているか 42.5
計画や順序を考えて活動しているか 46.3
よく話し合って活動しているか 51.2
係りの仕事で満足感を味わったことはあるか 57.5
あなたの係りの仕事は学級の役に立っているか 63.4
活動の中で友達のよさをみつけることができたか 65.0

2.実践の場及び方法
 係活動を通して連帯感を育てるためには,係活動が思いつきや係単独の小集団だけの活動になったり,活動がマンネリ化したりしないように,係活動をみんなのものにし,一人一人を生かしたものにしていかなければならない。そのため,次のことを中心に実践することにした。

ア 常時活動を活発にするための場の設定
 ○活動時間の確保
イ 活動言十画の見直し
 ○長期の見通しをもった,具体的な活動計画の作成
ウ 輪番制による全員主役の係活動
 ○班長の輪番制
工 係が交流できる場の設定と活動の工夫

(2) 実践の内容
1.係の常時活動を活発にするための場の設定いくら自分がやりたい係に所属しても,また,みんなで協カしてやりたい活動があっても,活動


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