研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -011/046page
班長としての主な仕事は,係の話し合いの時の司会,金曜日の班長会出席,朝や帰りの会での連絡などである。
班長の輪番制は,リーダーとしての立場と,フォロワーとしての両面を経験させることによって,互いにその役割を理解し合って活動できるようにすることをねらいとしたものである。
最初のうちは,ややぎこちなく,能率の悪い活動もみられたが,回を重ねていくうちに自分が所属する係についての自覚や,活動に対する責任感が随所にみられるようになってきた。「みんなで活動」の意識が出てきた結果と考えられる。
さらに,全員をリードしたり,全員の前で発表したりする機会を多くもつことにより,日ごろ消極的で,発言などをめったにしない児董にも,だいぶ積極的に自分の考えを述べようとする姿がみられるようになってきた。
S子の日記より 先週,わたしはメロディ係の班長でした。ちょうど,「10月の歌」を紹介する時期に当たり,みんなの前で説明しなければなりません。大勢の人がいる前で話をすることの苦手なわたしは,本当に困りました。
その日,思い切って説明したら,みんなから拍手されました。うれしかったです。
今度は,みんなの前で歌えるようにがんばりたいと思います。
4.係が交流できる場の設定と活動の工夫
各係の活動が活発になったとしても,それが学級全体にかかわっていなくては,学級生活の向上発展に結びついていかない。そこで,学級の全員が,係活動への自覚を高め,互いに認め合い,修正し合い,集団活動のすばらしさを味わうことができるようにするために,次のような活動の場を設定した。
ア 背面掲示板を利用した「みんなの広場」
イ 側面掲示板を利用した「係活動コーナー」
ウ 週の係活動の時間
○ 係班長会
○ 係活動発表会
○ 朝や帰りの会での「係から」「係へ」
これらの場を通した活動の中から,新たな問題が発見され,新しい係が生まれ,係間の連携した活動がみられるようになってきた。
(ア) 掲示板の利用から生まれた活動例
―― みんなの広場 ――
○ 児童に任せる場として,背面掲示板に色模造紙をはる。
ア 月の計画,時間,お知らせなどが自由にはられた。
イ 「同じ係ばかりが使っている」との声があがり,全員で話し合う。
ウ 1週間ごとに順番を決めて使うことになる。
エ はる場所の名称の決定――「みんなの広場」
オ 「1週間交代では,急な連絡やぜひみたいものがはれない」というので,再度話し合う。
カ 枠を区切って全部の係が使えるようにする。
キ 大きな紙をはる場合は,係相互の話し合いで譲り合う。
ク いつまでも同じ物がはってあったり,はり方がばらばらなので,「みんなの広場」を運営する係をつくることになる。
ケ 掲示係がつくられた。