研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -016/046page

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事例 2

清掃活動を通して連帯感を育てた実践例 B小学校

1. 実践の意図

 本校では,「集団意識を高め,自ら判断して活動できる子どもの育成」を主題として,日常生活の基本的行動様式を身につけ,集団の正しい秩序を守り,望ましい人間関係を育てることにより,個と集団が相互に支え合い,積極的に作用していくことを目指し指導にあたってきた。
 このことが,児童の連帯感の育成につながるものと考えたからである。
 「清掃活動」は,その重点領域として設定し,取り組んできたのであるが,それは,主として次のような理由による。
 本校の児童の学校における清掃活動をみてみると,自己本位であり,自分の分担が終了してしまえば,それで終わり,というように,他人のことや班全体のことまでは,ほとんど考えないまま行っていることが多かった。
 また,清掃の区域・役割・順序などが決められてはいても,意欲的でなく,ちょっと難しい仕事であるとか,目分にとって利得がない仕事はなるべく避けようとするなど,無責任な態度が多く見受けられた。
 清掃活動は,教育課程外の教育活動ではあるが,欠くことのできないものであることから,以上のような姿を排するというだけでなく,教育的効果が得られるよう積極的に利用するという立場からとらえ直してみようということになった。
 なお,連帯感を育成する場として清掃活動に焦点をあてたのは,清掃活動が次のような活動だからでもある。

(1) 毎日,継続して実践する活動である。
(2) 自分たちのことを自分たちの手で行うという活動である。
(3) 集団の中で,活動する喜びや責任を果たすという役割がある活動である。
(4) 友人と協カして行う活動である。
(5) 児童の素質・能カ・特質などには,ほとんど左右されない活動である。
(6) グループという小さな集団から,学級や学佼というより大きな集団へと発展できる活動である。

2. 実践の構想

 現在清掃活動についての考え方,位置づけ,方法などは,多種多様にわたっているし,実践もされているといえる。
 その中で,現在,かなり多いと考えられるのは1年生から6年生までの各学年の児童で班構成をする,いわゆる縦割り方式による清掃活動であろう。
 この縦割り方式は,多くの利点が認められるためと思われるが,縦関係集団では,ともすると支配者対被支配者という関係に直接結びつく対人感情が形成されやすいこと,児童の対等的立場,自由意志の行為,個人の独自的関心や目標が反映され難いという短所があることをふまえ,横割り方式,いわゆる同学年児童(同学級内)によって班構成をすることにした。
 横関係集団とすることによって,児童が自由な立場,平等な地位にあり,集団目標なども十分討議することができるし,その結果として集団目標が共有されること,班員同士の人間関係を醸成する上からも効果的であると考えたからである。
 以上のことを基本に,次の様な構想を設定した。

(1) 児童の清掃活動に対する意識調査等を行い,実態把握に努め,問題点を浮きぼりにする。
(2) 清掃活動に対する各自のめあてや共通の目標を確認し合い,それに基づいた清掃のすすめ方を常に検討しながら活動が展開されるようにする。
(3) 全体的に助言指導すべき事項と,個別に援助すべき事項を明確にするとともに,望ましい活動に対して,各学年に応じ賞賛し,認めてやる機会を設定する。
(4) 清掃活動のねらいを正しく把握させるため内面化を図り,実践に向けて生きてはたらくカとなり得るよう,特別活動(学級指導)や


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