研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -018/046page

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<児童の清掃活動の姿(観点)>

1.清掃の目標(めあて)を絶えず意識しながら清掃を行う。
2.与えられ,強いられて行うのではなく,自らの意志で清掃をしているという自覚を持つ。
3.班という小集団の中で,役割を分担し責任を果たすことに対しての喜びを感じる。
4.お互いが協カし合うことによって,所属している班としての向上を目指す。
5.積極的,かつ,意欲的に清掃を行う。

(2) 清掃実践にあたっての諸方策と結果

 望ましい清掃活動が展開されるよう,実践した概要について記してみる。

1.助言,指導にあたって
 教師の一方的な指示や注意だけに傾斜しないよう,清掃の意義などを理解させるように努めることにした。つまり,できるだけ児童の考えを引き出した形で助言する方向で指導することにした。
 低学年は,中・高学年に比べると形から入ることがどうしても多くなり,教師が指導する事項が多くなるのはやむを得ない。
 しかし,中・高学年とすすむにつれ,児童たちだけで清掃活動が展開されることを目指し,その時点では,何を教えるのか,何を任せるのかを絶えず考え,教師の共通理解を図ることにしたのである。
 なお,教師も児童と共に汗するという姿で清掃にあたることを確認し合った。
 例えば,「無言清掃」については,頭ごなしに「だまってやることが規則である」とあ,「むだ話を絶対にしてはいけない」とかいうふうに,注意したり押しつけたりすることをさけ,清掃中にむだ話をすると自分の作業がおろそかになるばかりでなく,他人にむだ話を誘発することになることに気づかせていくよう,教師が無言で清掃する姿を示したり,反省会などで話して聞かせるなどである。
 また,「無言清掃」というきまりを守らせる手だての一つとして,清掃を始める際,全員が紅白の運動帽子を白色にしてかぶり,むだ話をして注意されたら赤色にするということにしておいた。
 しかし,このことは,帽子を赤色にされるからむだ話をしないということになってしまい,本来のねらいからそれてしまうということになった。
 そこで,児童の考えを取り入れ,ペア同士や,班長に真剣さが認められれば,再び,自色にもどすという許容段階を設けたのである。
 さらに,現在では,帽子を赤色,白色にするのは,児童自身が自分の心に聞いて判断するということにしている。
 この結果,つい,むだ話をして赤色に変えた児童が,真剣に清掃に取り組み,終了時には全員が白色になるということが多くなってきている。

2.班づくりと分担
 次のような原則に基づいて班づくりをしている。
ア 学級内で座席が隣接している男女各2〜3名 計,5〜6名で1班を構成する。
イ 班の編成は,まず,リーダーを選びリーダーを中心として行うが,低学年では教師が意図的に行うこともある。
ウ リーダー(班長・副班長)は,児童間で選出させるが,固定化することをさけ,できるだけ交替をさせていくように助言指導する。
工 学習,給食当番なども,清掃班を生かして行うようにする。
オ 班内で2〜3人のペアを組ませ,2週間ごとに交替することによって親睦の輪を広げる。
カ 清掃区域は,できるだけ長期間(6週間程度)担当させる。

以上のように隣接している児童で班編成することによって,班員の接触の機会が多いことで親睦を増し,諸グループ学習などがすすめやすくなっている。
 また,清掃区域を長期間担当させることは,担当区域をどのように清掃すればよいかという理解を深めるのに役立ち,隅々にまで目や心を配り,自分からすすんできれいにしようという意欲づけ


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