研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -021/046page
3.あなたの清掃のようすはどうですか。
<上段4月調べ,下段9月調べ>以上のように項目によって違いは見受けられるが,清掃の目的をとらえ,真剣に清掃に取り組む児童が増加しつつあることがわかる。
ただ,清掃のきまりを守ることについては,「できない時もある」と回答した児童が,まだ相当数あることから,その原因や様子についてさらに分析し,児童とともに改善していきたいと考える。(2) 班づくりについて
縦割りによる班編成の短所を考え,横割りによる班編成で清掃活動を実践してきたが,他の学級や学年の清掃のしかたを理解したり,よさを取り入れるということから,縦割りによる班編成で一部実施してはどうかという反省が出された。
すなわち,縦割りによる班で清掃を行えば,高学年の児童がリーダーとなり教師に代わって指導にあたることから,教師の指導が少なくなるし,自分たちの手で学校をきれいにするという主体的な考えの助長にも役立つと考えたからである。
そこで,特別教室を縦割りによる班で清掃することに着手しつつある。
方法としては,学級内で清掃の横割りによる班構成する際に,1〜2名を順に除外しておき,除外した1年生から6年生までで1班を編成し,校長室の清掃などにあてることである。(3) 班カードの効用について
班カードを見ることによって,児童一人一人や班の清掃の様子がとらえられる。
このことをもとに,教師が児童を具体的な事実をもとに,認めたり,ほめたりしてやる機会が多くなったといえる。
また,児童が,お互いに清掃に対する考えや取り組みの姿を理解することにも役立っている。
すなわち,同じ◎であっても,児童が各人の意識の程度によって違いがあることに気づき,今まで◎を簡単につけていた児童が,他の班員の様子の◎と比較し,○に厳しく評価するようになったことなどである。
このように,自己評価や相互評価を行う中で,児童相互に認め合い励まし合うという好ましい人間関係が醸成され,班員だけでなく学級の児童全体の結びつきが強固になってきていると思われる。(4) 班日記について
班カードとともに,班日記を継続することによって,児童は,お互いの欠点を指摘することをさけ,友だちの良さを認め,また,よりよく集団活動を実践していくためには,建設的な意見が重要なのだということに気づき,班員が書いたことに対して自分の感想とか意見とかをすなおに述べ合うという姿も多くなりつつある。
当初,班日記でねらっていた集団意識の高揚については,班員相互の親密度が一層深まり,学習時の班ごとの話し合いもスムーズに展開されるようになってきている。個と集団とのかかわりで連帯感を育てることを目指し,清掃活動に教師と児童が一体となって取り組んできたが,目新しいことは何一つないといった方がよいかもしれない。しかし,教師はあくまでも援助する立場で,児童の考えを生かし,児童が主体的に活動していくように場を設定し,目標達成に立ち向かえば,班,学級,学年,学校と大きな集団の流れに沿って連帯感が育ち,集団によって児童一人一人が高められていくと考える。