研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -022/046page

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事例 3

部活動(バレーボール部)を通して連帯感を育てた実践例  C中学校

1 実践の意図

 学校における様々な教育活動の中で,生徒が積極的に参加する活動の一つに部活動がある。
 部活動については,中学校学習指導要領第4章特別活動,第3の3で「・・・・・学校において計画する教育活動で クラブ活動と関連の深いもの についても,適切に実施できるように配慮する必要がある。」(傍点筆者)と述べている。
 このように,部活動はクラブ活動と密接な関連があり,その教育的意義は,「学級や学年の枠をこえて組織された集団の中で,互いに認め合い,理解し合いながら,協力して共通の興味・関心を追求する」ことがあげられる。
 また,共通の興味・関心をもとにした集団という特性から,集団の目標が明確である,所属意識が強い,さらに共に活動することにより,親しい仲間ができ,人間的ふれあいが深まることなどが部活動の成果として期待できる。
 しかし,一般的な部活動の問題点として,次のようなことが考えられる。

○ややもすれば,対外試合等における勝敗にこだわり,選手養成的な運営になり,活動の過程よりも結果を重視する傾向におちいりやすい。
○教師による指導や訓練が前面に出すぎ,生徒は受け身で動かされることが多く,自主性の育成といった面のねらいからずれるおそれがある。
○選手になれないため不満をもつ生徒,厳しい練習に耐えられず,脱落していく生徒が出てきたり,技術的に優れていない生徒の入る余地がなかったりすることもかなり見受けられる。

 これらの問題点の解決を図るためには,部活動は広い意味での生徒活動であるといったとらえ方をし,生徒の自主的活動を重視することが必要である。
 このような考え方をもとに,この実践では,部活動という集団活動の中で,集団の目標を達成するために,成員が集団の一員としての自覚をもち,協同して活動することを通して,連帯感の育成を目指すものである。


2 実践の構想

(1) 生徒の実態及び問題点
 本校の女子バレーボール部の生徒の部活動への取り組みの様子は,学年としてのまとまりはみられるものの,技能の向上を第一義と考え,他学年との連携に欠ける面がみられた。
 特に中体連大会後,1・2年生が活動の主体になると,次のようなことが目立つようになってきた。

○2年生は自分の練習には熱心に取り組むが,1年生に対しては,我関せずといった態度がみられるなど,上級生と下級生の交流が希薄である。
○気の合う部員同士の練習に偏りがちで,練習相手が固定的になるなど,集団としてのまとまりに欠ける。
○部の中で小さなグループをつくって対立する姿がみられるなど,協カし合ったり助け合ったりする様子がみられない。
○多人数で一斉に練習できないため,練習できない生徒は声援することになっているが,声を出さない生徒が多く,まとまりに欠ける。
○2年生は,ボールや用具の後始末を1年生に押しつけるため,1年生の不満が強い。
○ボールの放置や部室の乱雑さなど,整理整とんがよくできない。
○自分が上手になることばかり考える生徒が多く,自己中心的である。
○部活動に休まず参加し,みんなで頑張ろう


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