研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -027/046page

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員としての意識の高揚を図っている。

4 結果と考察

 これまで述べてきたような実践を通して,生徒が部活動にできるだけ主体的に取り組むようにしてきたが,ここでは,生徒の連帯感の育成とのかかわりについて考察してみる。

 バレーボール部のこのような活動により,約80%の生徒が「入部してよかった。」,「最初は練習がつらかったが,みんなと協力していくうちに本当の楽しさがわかるようになった。」と述べているように,バレーボール部の一員であるという所属感や活動に対する充足感を表しているといえる。
 また,不平や不満を述べることが少なくなり,みんなで協力し合ってよりよい活動にしようという建設的な意見が多くなるなど,部活動を自分たちのものとして真剣に考え,活動する姿がみられるようになった。
 例えば,練習や試合における声援などの励まし合い,役割に対する責任ある実行などの活動によって仲間意識が強くなり,部の一員としての自覚も高まったと考えられる。

「練習中に先輩から『ガンバ!!』といわれてうれしかった。」,「先輩のプレーに声援を送ることが楽しくなった。」,「練習がつらくて今にもやめようと思っている時に,先翠からやさしい声をかけられたり,友人に励まされて続けることができた。」などが活動日誌に述べられている。
 このことは,成員相互の人間関係や,部の雰囲気が望ましくなってきていることの現れであり,部員同士の親和感が次第に深まってきたように思われる。

 従来は,試合に勝つことだけにこだわり,技能の向上を第一に考える生徒が多かったが,この実践を通して,ほとんどの生徒は共通の目標や各自の目標に向かって努カし,集団としてのまとまりをもつことの大切さを意識するようになってきた。

 今回の実践を通して得られた成果は,次のようなことである。

(1) 部活動とはどうあるべきかについて,部員が主体的に考え,真剣に取り組む手がかりとなった。
(2) 部員の自己中心的な行動が少なくなり,励まし合い,助け合い,思いやりの態度などがみられるようになった。
(3) 部員同士の感情的な対立もほとんどみられなくなり,温かい心でふれあう雰囲気が醸成されるようになってきた。
(4) 集団のきまりを守って,協同して活動することにより,部員としての自覚が高まった。
(5) 教師自身も一方的に指導しがちだった点を改め,可能な限り部員自らの自主的な活動にゆだねることが,よりよい部活動を目指す指導として大切であることが理解できた。

 以上述べてきたように,生徒の自主的な活動を重視し,部活動の実践を進める過程で,成員同士の連帯感が育成されたものと考える。
 これらの成果をもとに,今後さらに改善,向上を目指し,実践に役立てていきたい。


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