研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -028/046page
事例 4 学級づくりを通して連帯感を育てた実践例 D中学校
1 実践の意図
学校教育における最も基本的な集団は学級であり,学級づくりは,各教科,道徳,特別活動はもちろん,生徒の学校生活全体を支える重要な条件の一つであると考える。
このような観点から,学級の実態を連帯感とのかかわりで見直してみると,次のような問題を指摘することができる。
○学級内の問題の発見やその解決に際して,学級の生徒同士の結び付きが弱い。
○学級のためにという共通の目標に向かって努カしようとする姿があまりみられない。
これらの問題の原因として考えられることは,本校の生徒が4つの小学校から集まることと,毎年,学級編成替えをしていることがあげられる。
このことが,生徒の心のつながりや,学級のまとまりを阻害しているものと考えられる。
そこで,学級会や学級指導における活動を通して,学級内の望ましい人間関係の醸成を目指した学級づくりを推進する過程において,学級内の連帯感が育成されるものと考え,この実践を進めることとした。
なお,実践に当たっては,学級の生徒間の望ましい人間関係の醸成を基軸に,学級の共通の目標に向かって,生徒の一人一人が努カし,楽しく明るく,しかも仲良く生活できるような学級の雰囲気を培っていきたいと考える。2 実践の構想
(1)生徒の実態と問題点
学級のまとまりとか,学級の成員が協力的であるか否かについての生徒の考えは,生徒個々に様々であり,この調査結果からだけでは結論を導くことはできない。
実践に先だって,昭和60年7月,2年生 (男21名,女19名) 40名を対象に,「学級のまとまり」等に関する調査を実施した。
その内容と結果は,次の通りである。
しかし,アの「学級のまとまり」について見てみると,「まとまっている方である」と「ふつうである」を合わせると75勉%はなるものの,「たいへんまとまっている」と考える生徒は一人もいない。
しかも,「ややまとまりがない」と「まとまりがない」を合わせると25%,つまり4人に1人が自分の学級のまとまりに関して否定的な考えをしていることがわかる。
また,イの「学級のまとまりをよくする努カ」については,「やや努力不足である」と「努力不足である」を合わせると45完となり,約半数近くが「努カ不足」と考えていることがわかる。
ウの「学級の協力」については,男女共に,同