研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -029/046page
性に対してはほとんどの生徒が,自分のことをわかってくれ,協力してくれると思っているが,異性に対しては非協力的であるという意識がかなり強い。
男子は,女子の約53%が「協カしてくれない」と考えており,女子は,更に多く,男子の約76%の級友が,自分に協カしてくれないととらえていることがわかる。
このようなことは,この期の生徒の一般的傾向であるともいえるが,望ましい学級づくりを図るためにも,男女間の理解や協力について十分に配慮していかなければならないことを示唆しているものと思われる。
以上のような調査や教師の日常的な観察から,学級の実態及び問題点についてまとめてみると,おおよそ次のようなことがいえる。○望ましい学級に対するイメージをもつことができず,学級内の諸問題への反応が鈍い。
○問題を自分のこと,あるいは自分たちのこととして受け止めようとする意識が足りない。
○問題を学級全員のものとして取りあげ,話し合って解決しようとする積極性がみられない。
○友だちの話に耳を傾け,自分の意見を進んで述べるというような話し合いの基本的な態度が身についていない。
○学級の様々な係は,学級の一人一人のよりよい生活の向上のためにあるという意識が乏しい。
また,自分から進んで係を引き受けようとしないだけでなく,強制的に与えられたものと受け止めていることから,進んで仕事をしようとしない。
○男女間の人間関係がうまくいっていない。(2) 実践の場及び方法
1.理解し合い,信頼し合う雰囲気づくりのために
・話し合い活動の充実
・班ノートによる相互理解
・短学活における2分間スピーチ
2.明確な目標を持ち,親和感に支えられた活動を進めるために
・目標を明確にした,班及び係活動の充実
・班反省記録表の活用
3 実践の内容
(1) 話し合い活動の充実
連帯感を育てようとするためには,望ましい人間関係がその根底になければならない。このことから,教師が生徒一人一人を理解することはもちろん,生徒同士が互いに理解することが大切である。
従って,学級内の諸問題を解決する過程で,互いに理解し合い,信頼し合うという目的を意識した話し合い活動が必要になってくる。
つまり,話し合い活動を単に問題解決の場として限定するのではなく,その活動を通して一人一人が理解を深め,信頼関係を築いていくことが大事であるということに気付かせていかなければならない。
ア 話し合い活動充実の前提としての学級会活動
学級会活動における話し合い活動の基本的な考え方を次のようにおさえ,話し合い活動の充実を図ることにした。
◎学級会活動のねらい
一人一人の生徒が学級生活上の諸問題に積極的に取り組み,自発的,自治的な実践活動を通して,学級生活の向上発展を図るとともに,組織的,計画的に活動を進め,自己を正しく生かすようにする。
◎話し合い活動の改善
・学級生活の改善に適した議題がなるべく多く集まるように議題案の集め方を工夫する。
・議題選定委員会を設け,議題案を整理,精選し,議題を選定するようにする。また取り上げられなかった議題の処理を適切にする。
・議題に基づき,話し合い活動の実施計画を作成し,事前に知らせておく。