研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -032/046page

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けば,生徒相互,教師と生徒の間に,望ましい人間関係が醸成され,連帯感の育成にもつながっていくものと考えられる。

2.「2分間スピーチ」による相互理解「班ノート」が,書くことによる相互理解を目指すものであるのに対し,「2分間スピーチ」は,話すことによる相互理解を目指すものである。
 ここでは,ねらいと方法についてだけ述べ,具体的内容は省略する。
ア 「2分間スピーチ」のねらい
生徒が自分自身について語ることを通して,話すことに慣れ,自分を理解してもらうことに努めるとともに,友達を積極的に理解するための一助とする。
イ 「2分間スピーチ」の方法
毎朝,短学活の時間のうち2分間をスピーチの時間にあて,自分や学級の生活についての意見や考えなどについて,順番を決めて話すようにする。


(3) めあてをもって取り組む班活動

 めあてをもって班活動を行うようにするため,配慮してきたことを述べてみる。
ア 勝ち負けや活動の是非を問題にするのでなく,活動の結果よりも過程を重視するようにする。
イ どの班も,めあてに向かって協力できるようにする。
ウ 全体を問題とする場合と,個人を問題とする場合とを区別するようにし,いずれの場合も単なる非難にならないようにする。
工 班競争を安易に取り入れることのないようにする。
オ 班長を固定せず,交替制で行うようにする。
以上の5項目について,十分配慮していくことによって,班活動が望ましい状態で行われていくものと考える。そのため,特に次のことに留意した。

○班活動の目的・意義を生徒一人一人が十分理解する。
○反省記録などは,形だけの記録やマンネり化した内容になることをさけるとともに,学級づくりのために生かされるよう,十分活用する。
○個人攻撃の材料や班競争の材料にしないように,反省記録などを取り扱う。

めあてを自覚し,生活を振り返るための班反省記録の例

1.問題
 班を編成しても,その中における役割分担及び個人や班のめあてなどが明確でないことが多い。さらに,班や学級での話し合いが不十分で,「よかった」,「悪かった」というような単純な結論に終わってしまうことがある。

2.問題の背景
班や学級の成員がめあてを自覚し,それに向かって努カしようとする意欲が不十分なことによる。

3.役割分担による目標の自覚と反省記録による生活の見直し
班ごとに,次のぺ一ジにあるような反省記録を書くことにした。

4.班反省記録の結果
この反省記録を活用していくうちに,何を,どこまで係としてしなければならないかが問題になった。
 そこで,話し合いによって,それぞれの係のめあてと活動内容を明確にすることにした。そのことにより,態度のよしあしの程度も具体的になり,心の動きまで話題にのぼるようになった。また,記録表の集計を生徒自身が行うようになったことは,この記録表を生徒が主体的に活用していることを現わしている。


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