研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -034/046page

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事例 1

学校行事を通して連帯感を育てた実践例 E中学校


1. 実践の意図

 学校行事は,多様なねらいと内容を含んだ創造的な活動であるとともに,全人的な人間形成に寄与する教育活動の一つである。
 この教育的特質としては,学校生活をより豊かな充実したものにするとともに,多彩な内容を含んだ総合的・創造的な教育活動であることなどがあげられる。
 さらに,このような特質をふまえながら,学校や生徒の実態に即して,様々な創意工夫を生かし,生徒が自主的に活動することによって,成就感や充実感を体験することを通して,連帯感を高めるなど,他の教育活動では得がたい教育的な意義をもっているともいえる。
 学校行事を通して連帯感を育てるという本校の実践も,こうしたことを基本的な背景としたものである。
 本研究の基本的な考え方は,学校行事は,学校が計画し実施する教育活動であることをふまえながら,何をどのようにするのか生徒自身が考え,決定し,実行するというように,生徒主体の活動を基本にすえ,実践を進めようとするものである。
 本校の生徒は一般に,「自ら進んで,自分の所属する集団の向上を目指した,豊かな学校生活への工夫」が,不足しているように思われる。
 具体的には,次のようなことがあげられる。

○学習や生活に対する目的意識が乏しい。
 (何のために)
○自己に対するきびしさがない。
  (苦しさに耐える)
○勤労意欲や思いやりの心に欠ける。
 (協力し合う,'助け合う)
○集団生活の中で,目的達成へ向けての意識が低い。
 (自治的活動への連帯感)

 以上のような実態をふまえ,連帯感の育成を図るためには,生徒一人一人が,その所属する集団の中で,相互信頼に基づいた望ましい人間関係を培い,集団に対する所属感を深め,同時に学校・学級生活への充実感を味わわせることなどが大切であると考える。
 このことから,教育目標を受けて,「体験的学習を通して,自治集団を発展向上させる」ことを望ましい生徒像を目指す活動の視点とした。そして特に学校行事を中心に研究を進め,2年生では「登山」及び「集団宿泊学習」を実施した。これらの活動をさらに発展したものが3年生で実施する自主プランによる班別行動を取り入れた「修学旅行」である。この2年生から3年生と継続する一貫した集団活動を通して,連帯感の育成を図ろうとするものである。


2. 実践の視点

(1) 互いに協力し,助け合うことのできる雰囲気づくり
   ―楽しい仲間づくり―
(2) 自分の役割と責任の自覚
   ―所属感を高める―
(3) 自主的に計画し,実践できる手順と工夫
   ―所属集団の向上―
(4) 自主的な課題解決
   ―成就感・充実感を味わう―


3. 実践の方針

(1) 適切な援助・指導により,生徒自身が自発的・自治的な活動ができるようにする。
(2) 自主的に活動する体験を通して,実践力を高めるようにする。
(3) 教師と生徒,生徒相互の豊カ)な心のふれあいを基盤とした活動をする。
(4) 集団生活の中に自分の希望や意見が生かされ,互いに協力して課題解決に取り組めるようにする。


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