研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -035/046page
4. 実践事例
登 山 (1) 実践の構想
学校行事本来の在り方からいえば,計画の段階から生徒の参加を促すべきであるが,登山という行事は,一歩まちがえば人命にかかわることであり,生徒の安全確保を図る上から,基本的なことや,どうしてもおさえておかなければならないことは,教師の立てた計画を中心とすることにした。 しかし,生徒の手にゆだねることのできる細部の企画や自主的に活動できることについては,生徒の創意を生かし,できるだけ生徒にまかせることにした。(2) 実践の内容
1.教師の指導・援助の視点
ア ねらいの明確化
登山を通して,豊かな情操と忍耐力を養い,集団行動による連帯感の育成と公衆道徳の体得を図る。
イ 生徒に体得させる具体的な内容
(ア)人間性豊かな心のふれあいから,相互の信頼を深める。
(イ)互いに認め合い,励まし合って,共になしとげた喜びを味わう。
(ウ)体験的学習活動を通して,集団の発展向上を図る。
(工)自主的に計画し,実践する体験を通して活動への満足感をもつ。
ウ 指導事項
(ア)登山の目的と意義
(イ)集団の規律と積極的な参加態度
(ウ)協カして成功させようとする意識の高揚
(工)実施計画大綱の説明と生徒の自主的活動の促進2.生徒の自主的活動を促す援助の視点
ア 計画段階から生徒を参加させるためにはどうしたらよいか。
イ 班編成や係の決定はどうするか。
ウ 登山中の注意事項はどんなことか。
工 携行品や服装はどうするか。
オ 登山の事前学習をどう進めるか。
このように教師が援助することを生徒に投げかけた背景には,計画の段階から生徒の自主的な活動を展開することによって,仲間づくり,所属感,成就感などを体得させるというねらいがある。3.計画段階における生徒の活動
(注)上記のア〜オは,2.の生徒の自主的活動を促す援助の視点を示す。(前述)
生徒は,基本計画及び教師の援助をもとに,おおむね次のような流れで自主的活動を展開した。
ア 学習班ごとの話し合いによる新たな班編成。
イ 課題解決に向けての班ごとの話し合い。
ウ 班代表者会による話し合い。
工 班代表者による代表者会の報告とそれに基づく話し合い。