研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -037/046page
安達太良登山の思い出 2年T.S
「頂上まで,登れるだろうか。」バスから見た安達太良山は,高くそびえ立ち,威厳を示していました。登山口に着き,まずリフトに乗りました。リフトは,初めてなので,少しどきどきしたけど,乗ってみるとかえっておもしろくなり,ずっと乗っていたくなりました。それから,頂上まで行くのが,とにかく大変でした。坂を登ったり,どろ道を歩いたり,雪の上を歩いたり・・・。なん度もころびそうになって,そのたんび班の人たちに手をひいてもらったり,声をかけてもらってなんとか登って行きました。
「もう少し,もうすぐ頂上。頂上は見晴らしいいから。」こんなにつらいのなら途中で,ひき返そうという気持ちの時,そんな声が聞こえてくる。私だけがつらいのではないのに,みんなが汗しているのに,息をきらしているのに,と思うと,一歩一歩の足に,不思議に力がわいてくる感じがしました。
そして,やっと頂上の少し下に来ました。石がごつごつしたところを,息をきってのぼっていきました。青々と澄みきった空,広大な景色が,私の目に入りました。とたんに気が抜けてしまいました。
すばらしい景色と,広い空を見ていると,自分が吸いこまれていきそうな感じがしました。雲が,手に届きそうな所に自分がいると思うと,風のすがすがしさが,心までしみとうるような気がしてきました。何か,降りるのがもったいなくなりました。
帰りは,わりあい楽なように思われました。くろがね小屋からは,ゆるやかな道で,みんなで,いろんなおしゃべりしながら歩いて来ました。登山口までもどって,ふりむいた時はるかに見える頂上を見て,なにかとても不思議な気持ちになりました。「よく,あんなに高いところに登れたなあ,本当に私が登ったんだろうか」とてもすがすがしい気持ちになりました。
集団宿泊学習
(1) 実践の構想
この行事を実践する意図は,先に実施した「登山」という行事を通して体得したものを,この「集団宿泊学習」で更に発展拡充しようとするものである。
しかも,自然の中で生徒相互,生徒と教師が寝食をともにすることによって,人と人とのつながりを深めることをねらったものでもある。
生徒の実態を「登山」の時と比較してみると,「2学年として」,「○組として」というように集団生活を通して目的達成へ向けての意識が高まりつつあるということは,登山で得た体験の成果であろう。
しかし,一人一人の役割分担の遂行や,協同的態度については,まだまだ不十分な点が多くみられる。
このことから,やはり生徒の自主的な活動を促し,個と集団のかかわりなどを体験させることが大切であるという認識にたって,基本的には登山のときと同様な手順で実施することにした。(2) 実践の内容
1.教師側としての指導・援助の視点と確認
ア 集団宿泊学習のねらいの明確化
(ア)生徒相互,生徒と教師が寝食を共にすることによって,一層の理解と豊かな人間関係をつくる。
(イ)大自然の中で,心身の錬磨を図ると共に,自然に親しむ心,愛する心を育てる。
(ウ)集団行動,グループ活動などを通して自主性,奉仕の精神,責任感,連帯感などを育成する。イ 生徒の自主的活動を促す援助の視点
計画そのものが,教師主体の計画であっては,生徒の目主的な活動を促すことにはならないということは,先にも述べた通りである。
つまり,教師としては,「これはこうしな