研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -038/046page
さい」,「このことについてはこう守るんですよ」というような「決めつけ」であってはならないのである。
したがって,今回の集団宿泊学習を通して,先に述べた「ねらい」を達成するためには,各自がどのように役割を分担し,協カし合っていくべきなのかを生徒自身に考えさせることが必要である。
このことから,「何をどのようにするのか,生徒自身で考え,決定し,実行する」ということを基本として指導することにした。2.計画段階における生徒の活動
計画段階における生徒の活動は,登山の時に準じたものであり,詳細は省略するが,生徒が積極的にかかわった活動は,次の事前指導計画に示す※印である。これらの活動で顕著であったことは,集団宿泊学習に向けての意識の高揚を図るために,委員会が中心になって行った「実施スローガン」の募集とそれに対する生徒の応募状況である。
このように,生徒が進んで級友に呼びかけ,多くの生徒がこれに応募するという活動がみられたことは,生徒自身が積極的に参加する学校行事であるという認識を新たにした活動であったといえる。
また,各班がキャンプファイヤーで行う出し物の決定と練習では,ともするとみられがちな「他人まかせ」であったり,「いやいや」ながらやるという姿はなく,むしろやること自体に喜びを味わっていたようである。
そこには,成員同士の和気あいあいとした雰囲気が感じられ,これまでの学校生活ではみることのできない姿をみることができた。
成員同士がやる気になっているということは,目的を一つにして,みんなで成し遂げようとする姿であり,そこには相互信頼に基づいた,所属感ないしは連帯感が保たれている現われであるとも考えられる。
活動そのものは,出し物の決定とその練習ということではあるが,期待するものは出し物の質的内容ではなく,活動過程から生まれる人間関係と協カ的態度の育成である。
それが,みごとに達成されたのがこの活動であった。3.実施状況
生徒は全員参加,引率の教師は男女合わせて9名である。
生徒は校庭に集合したが,いつもの集合状態とは異なっていた。
まず,気づいたことは整列の仕方であった。普通なら教師の号令によって整列させなければならなかったのが,形態こそ満昆のいくものではないが,学級ごとにまとまりをみせていた。
服装等の準備状況をみると,先の登山の経験もあってか,生徒一人一人が十分な備えをしてきて