研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -040/046page

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 なお,班の編成や自主プランに基づくコースの選定,研究テーマの決定,きまりの作成等については2年の2月,3月より準備を進めてきたものである。

1.生徒の自主的活動を促すための援助と指導基本的な考えとしては,先に示した学校としての計画に基づき,随所に生徒の自主的な活動を盛り込むということを重視したことである。指導の重点は,自主プランによる班の行動の中で,「成員各自が自己の集団を指導し,管理するカ」を生徒自身に育てなければならないということである。
 このことから,自主プランに基づく活動において,成員同士が「自治」を確立し,いかに協カするかが大切になる。
 したがって,成員の一人一人が他人ごととしてものを考えるのではなく,自分のこととして考え活動することを自覚するようにしなければならない。
 以上のような意図から,事前指導として,班ごとによるコースの選定及び研究テーマの設定などについて,学級会ごとに発表会をもち,優秀な研究を学年集会や全校集会で発表し合うことによって,修学旅行の意識をみんなで作りあげるよう指導した。
 更に,自主プランを成功させるためにはどうすればよいかなどについて,実行委員会,班長会などを通して十分話し合うことによって「しおり」や「きまり」作成の基本となるものをつくり,これを基にして各学級や班としての自主的な活動を促すようにした。
 これらの活動を展開することによって,一人一人がどのような心構えで行動することが大切なのかを確かめあっていくようにしたのである。

2.生徒の自主的活動とその内容

ア 自主プランに基づく見学コースの決定コースの決定に当たって,自分たちの班はどこを見学するのか,真剣に話し合っている様子から,とにかく自分たちで決定しなければならないという意識が高まっていることが伺えた。
 知らぬ土地での行動に不安を抱きながらも,生徒の目は生き生きとしたものがあり,地図を広げる者,歴史的遺産を調べる者,交通手段を調べる者など,一人として怠ける生徒はいない。
 そこには,正に自主的な活動を展開している姿をみることができた。

イ 研究テーマの決定
 見学先を総括するテーマ決定となるとなかなかまとまらない。そこでも盛んな意見が交わされていたが,難しい問題となると「だれかが考えるであろう」というような消極的な態度になっている生徒もみられた。
 しかし,コースに基づく研究テーマを決定するために,分担を決めて見学先の見学内容を調べるなど,各自が努力している態度がみられた。

ウ 発表会の開催
 各学級における発表会は班ごとに,コース選定の理由や見学先の内容等について行った。発表を聞いている他の班の生徒たちは,自分の班のまとめ方はこれでよかったのかというような心配気な様子であり,そこには成員同士のまとまりをみることができたのである。
 更に,学級代表が学年集会や全校集会で発表する資料づくりも,従来ならば発表者自身の問題として,かかわりを持とうとしなかった生徒たちが,自主的に資料づくりに参加して活動している姿をみることができたことはすばらしいことであったといえる。

工 鎌倉での日程と行動
 ※北鎌倉駅 11:13 約半数の生徒下車
   チェックポイント(円覚寺)
 ※鎌倉駅 11:16 残りの生徒全員下車
   チェックポイント(八幡宮,大仏殿,鎌倉駅)

 どの班も以上をチェックポイントとして,自主プランに基づき,自分たちの力で交通手段を考え行動するというように,すべて自分の力,班の力で見学をしたのである。宿舎到着の時刻は 17:30 であったが,最後の班が10分遅れただけで全員到着した。


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