研究紀要第73号「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -090/126page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

基本的対応 具 体 的 対 応 対    応    例
(1)
受容的,支持的に接する
1 子供の感情,気持ちを支えるようにする。
 ア 子供の気持ち,心情を受け入れる。
 イ 子供と同じ気持ちになるであろうということを伝える。
○ 子供の言動の背景にあったであろう気持ちや心情を察して,「つらいんだね」,「悲しいんだね」といった言葉かけをしながら,子供のそのときの気持ち,心情を先ず受け入れる。
○ 「そんなことをされたら,先生だってつらくなるよな」とか「とても悲しかったんだね。そんなときは,先生だって悲しくなると思うよ」とそのようなときには,当然そういう気持ちになるんだろうという言葉かけをする。
2 子供を肯定的に受け止めるようにする。
 ア 子供の言動を良い方に解釈する。
 イ 子供の性格や考え方を良い方に解釈する。
○ 「おせっかい」に見えたら「親切」なのだと,「なかなか発表をしない」ときは「じっくり考えている」のだと子供の言動を良い方に解釈し伝える。
○ 「落ち着きがない」→「活動的である」
○ 「悲観的に考える」→「慎重に考える」,「自分をきびしく見つめる」
3 子供の言動の背景がわかる。
 ア 子供の現象面だけにとらわれない。
○ ささいなことを注意したり,しかったりしない。
○ 当面の子供の問題に触れないようにする。
 ・ 子供があくびをした。→ すぐ注意するのではなく,その背景を考える。
 ・ チックが見られる。→ 注意しない。
(2)
ふれ合いの機会を多く持つ
1 積極的に話しかけるようにする。
 ア 積極的に「声」をかける。
 イ 子供の関心事を話題にし,話しかける。
 ウ 気軽に談笑する。
 エ 欠席している子供には電話や家庭訪問をして話しかける。
○ 「おはよう。元気だね」,登校班の班長に「おはよう。一年生の面倒ご苦労さま」,球技大会で頑張った子供に「さようなら,今日はよく頑張ったね」とあいさつと共に一言を添えて話しかける。「かぜひくなよ」,「寒くないか」と声をかける。「日曜日はどう過ごしたの」と自然な形で近寄り話相手になる。
○ 「子犬大きくなったかな」,「お父さんの病気どうですか」といった子供が一番心配していることや関心を持っていることを話題にして話しかける。
○ 休憩時間,休み時間,放課後などの時間に子供たちと「冗談」,「しゃれ」などのユーモアに富んだ話をし合うようにする。
○ 「今,なにしていたのかな」,「ごはん何食べた」,「どんなテレビみたかな」といった登校刺激にならない雑談をする。
2 共にする活動を多くする。
 ア ー緒に遊び,運動する。
 イ 共同作業をする。
 ウ 手伝いを意図的に頼む。
○ 休み時間や放課後の時間を利用して.遊びや運動に誘い,一緒になって行いスキンシップを深めて楽しむ。
○ 「今年の学級園にきれいな花を咲かせようね,今日はみんなで種をまこうか」,「学習園のひまわりの世話をみんなでやろうね」といって子供を誘い,作業を通してふれ合いを深める。
○ 「先生の仕事,手伝って」と仕事を頼んで一緒にする。
3 自分を語りかける。 ○ 自分の子供時代の思い出やエピソードを語る。
 ・ けんかしたこと
 ・ 遊んだこと
 ・ 失敗したこと
 ・ 先生とのふれ合いのこと
 ・ 楽しかったこと
 ・ 悲しかったことなど
(3)
子供を大切にし,認める
1 子供の立場を尊重する。
 ア 秘密を守る。
 イ 子供との約束を守る。
○ 子供の家庭の事情,生い立ち,病歴,問題行動の状況について知り得たことは決して口外しない。
○ 「内緒だよ」と言って聞き出したことについて漏らさない。話す必要を感じたときは,話すことの了解をとる。
○ 「今度の水曜日に○○○しよう」と約束したことを確実に実行する。
2 子供を認める。
 ア 子供の長所を見つけ伸ばす。
 イ 努力の過程を積極的に認めてほめる。
○ 長所を学級,学校の生活や校外生活の中から見つけてほめ,更に,一層伸ばしてやる。
○ 可能な目標を一人一人に持たせ,少しでも変化や成果が見られたら「よく頑張ったね」,「つらかったろう。よく我慢したね」,「随分できるようになったね」とほめ,励ます。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。