研究紀要第73号「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -099/126page

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基本的対応 具 体 的 対 応 対    応    例
(1)ラポールを形成する    ・ 「ちょっとお伺いしたいのですがいつよろしいでしょうか」
 ク 家族に電話する時,失礼にならないように配慮する。 ○ 表情が見えないので親の気持ちを十分察知して話す。
 ・ 「もしもし,ちょっとよろしいですか。お子さんのことなんですが。もし,お子さんが近くにいましたら後でお電話しますが」(もしいなければ)「どのくらいの時間だったらお話してもよろしいですか」
○ 用件を端的に伝えるようにする。一方的にはきらない。
 ケ 相談する場所や時間に失礼のないように配慮する。 ○ 話し合っている様子が見えない.話し合っている声が他にもれないなど,落ち着いた部屋を設定する。
○ 相談する時間を設定する。
 ・ 「ご都合があると思いますがどのくらいの時間でしたらよろしいですか」「それでは○時○分までしたいと思いますがよろしいですか」(家庭訪問の場合,食事時をさける。長時間はいない。)
 コ 相談したことを他に口外しないことを伝える。 ○ 「ここで相談したことは誰にも話したりしません。お子さんにもですよ。しかし,お子さんの指導援助のために他の先生などに知らせた方がよい場合はお父さんお母さんのご了解を得てから知らせたいと思いますがよろしいでしょうか」
(2)
家族へ指導援助をする
1 家族の資料を収集する。 ○ 手引「資料収集,診断,指導仮説」の項参照
2 家族の変容の手助けをする。 ○ 受容,支技,繰り返し,明確化,ノーマライジング,リフレーミングなどの技法を活用し,親が自分から問題に気づき,子供へのかかわり方に気づかせるようにする。(技法については102ページを参照)※面接,家庭訪問,電話,それぞれの特性を生かしながら行う。
 ア 問題点の気づきを手助けする。 ○ 学校での様子を詳しく話すとともに家庭での様子も詳しく聞く。
 ・ 「学校で○○のようなことがあったのですが家ではいかがでしょうか」「とても心配なんですけど」
 ・ 「そんなことがあったのですか。なるほど」「お子さんのことをよくご覧になっておりますね」と肯定的に受け止め,間をおいて相手の発言を待ち,さらに気づきを促進させる。
 イ 問題点への対応への気づきを手助けする。 ○ 対応の仕方を否定したり評価したりしないで肯定的に受け止めた言葉をかける。
 ・ 「どのようにお子さんと接しておられますか」→「ちょっとしたことでもやってあげているんです。過保護なんでしょうか」→「なるほど。お子さんをとっても大事にしておられるのですね」
 ・ 「問題行動の改善のためにどんな方法があるでしょうね」→「○○なことはどうですか」「○○なこともありますね」
○ 対応の仕方の内容を実際的,具体的なことから考えさせるようにする。
 ・ 「なるほど,そうすればいいかもしれませんね」
○ 気づきがない場合は,対応の仕方の例を提案する。
 ・ 「○○という方法があるのですがどうでしょうか」
 ・ 「こういうことはいかがですか」
 ウ 対応している努力を積極的に認め,さらに継続させる。 ○ 「一生懸命がんばっていらっしゃいますね。助かります」「ご一緒になって取り組むこと大変すばらしいです」「お子さんもとってもがんばってますね」などとさりげなく言う。
 エ 必要な場合は専門機関への相談を勧める。 ○ 子供が病気だとか,学校では手に負えないとか決めつけた言い方をしない。
○ 勧めることに関して具体的に資料を収集しておく。確証を得た段階で勧める。行く,行かないは家族の意志に任せる。
 ・ 「いままで私たちで検討したのですが,どうでしょう。お子さんのためにもより専門的な先生にみてもらってはいかがでしょうか」「○○先生は○○においては専門なんですが」


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