研究紀要第73号「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -101/126page
● フィードバック
問題行動の改善への指導援助を効果的に進めていくためには,資料収集,診断.指導仮説,指導援助のそれぞれの過程で必要に応じてフィードバックすることが大切である。
基本的対応 具 体 的 対 応 対 応 例 (1)
資料収集・診断・指導仮説・指導援助が適切か検討しそれぞれの過程でフィードバックする1 資料収集の過程でフィードバックする。 ○ 資料収集計画をうけた資料収集がなされているか検討する。
○ 十分に資料収集ができたか検討する。
○ 資料収集計画が適切であったか検討する。2 診断の過程でフィードバックする。 ○ 診断の根拠となる資料が入っているか検討する。
・ 資料の不足はないか。
・ 資料の解釈が間違っていないか。
・ 主訴を資料によって十分説明できているか。3 指導仮説の過程でフィードバックする。 ○ 指導仮説の根拠となっている事項が診断に入っているか検討する。
・ 診断に間違いはないか。
・ 診断の具体化の間違いはないか。4 指導援助の過程でフィードバックする。 ○ 指導援助の方法の根拠となっている事項が指導仮説に入っているか検討する。
・ 指導仮説に間違いはないか。
・ 指導仮説を受けた指導援助の方法は具体的,実現可能なものであったか。● 指導援助の終了
終了の判断は,問題行動の改善のみをもってするのではなく,人格の成長や症状の原因,背景が改善されたかどうかまで見極めてすることが大切である。また,その後の様子を見守っていくことも必要である。
基本的対応 具 体 的 対 応 対 応 例 (1)
終了の判断をする1 問題行動の改善がされたかどうか確かめる。 ○ 集団不適応の子供の例
・ 集団の中に入って友達と遊べる。
・ 親しい友人ができた。
・ 悩みを訴えない。など2 人格の成長が見られたか確かめる。 ○ 前向きの考えを持つようになった。肯定的に見るようになった。他に対する思いやりの気持ちが出てきた。自己主張できるようになった。など 3 問題行動の原因,背景が改善されたかどうか確かめる。 ○ 集団不適応が父母の夫婦関係の悪化により生じていた場合
・ 夫婦関係が良くなった。
・ 両親ともに本人に対する愛情ある働きかけが多くなった。など(2)
その後の様子を見守る1 観察する。 ○ 本人の日常生活について継続して注意深く見る。 2 その他の情報を得る。
ア 家庭から
イ 他の教師から
ウ 子供から○ 父母に対して
・ 「その後,家庭での○○さんの様子はいかがですか?」
○ 養護教諭に対して
・ 「私のクラスの○○のことだけど,その後,保健室の方へはどうですか」
○ 学級の子供に対して
・ 「○○くんは昼休みどうしているの」