研究紀要第73号「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -103/126page

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事例 1
学級全体への指導援助
ラポールの形成
指導援助者の姿勢

を中心にまとめた事例

− 学校では話せなかったが,話せるようになった小学生 −

1. 主訴

   かん黙

2. 対象

   小学校 5年 女子

3. 問題の概要

4. 資料

(1) 本人に関する資料 (2) 家族に関する資料

5. 診断

 弟の誕生で家族の関心が弟に移ってしまったため,おんぶをせがむなどして愛情を得ようとしたが,拒否的に扱われたり,姉としての自覚を持つように強く言われたりした。そのため,両親の期待にそうべく努力し,何事もき帳面にやらなければ気が済まない性格や神経質で内向的な性格が形成されていったと思われる。
 そして,小学校に入学したころ,学校では話せなくなるような何らかのエピソードがあったらしいが,このことについては不明である。しかし,話をしないことについての両親の対応は,ただ,「学校でも恥ずかしがらずに話をしなさい。」と言うだけであった。また,学校でもかん黙に対する理解が十分になされなかった。このため,かん黙の状態が続いたものと思われる。さらに,かん黙の状態が学級集団に適応できない大きな理由であると考えられる。


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