研究紀要第73号「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -108/126page

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事例 2
早期発見
ラポールの形成
専門機関との連携

を中心にまとめた事例

− 授業中などに頻繁に首を左に振る癖が改善された中学生 −

1. 主訴

   チック

2. 対象

   中学校 2年 男子

3. 問題の早期発見及び概要

(1) 問題の早期発見

 1 問題行動の意識化と確認
 中学2年になって組替えがあり,新たに担任することになった当初から,本人が時折首を左に振る癖があると感じられた。他の先生方に確かめたところ,他の教科の時でも見られるとのことである。小学校からの資料を見ると,その癖は小学校のころからで,家でも見られた。そこで,学校生活全般にわたって注意深く観察したところ,みんなの前で発表する時や,テストの時といった緊張する場面で多く見られた。この癖がもとで,本人がいじめられたり,からかわれたりして学校生活への不適応が生ずることも考えられる。そこで,何とかこの癖の改善を図る必要があると考えた。

 2 専門機関との連携
 本人の様子から問題行動の一つではないかと考え,詳しく知りたいと思い専門機関についていろいろ調べた。そして,県教育センターに電話で相談した。その結果,チックではないかと言われ本人に関する資料を収集してから具体的な対応を講じるよう助言を得た。

(2) 問題の概要

 小学校5年の終わりころから首を左に振る首チックが見られるようになった。そのころは,担任がへんな癖が見られると気づいていた程度であった。家庭でも5年生のころからそのことについて気づいていたが,癖程度に考え,見られた時にはその都度やめるように注意していた。中学校に入ってからは,特に授業中にしばしば見られた。また,担任を避けているようなこともあった。更に落ち着きがないと担任に母親が相談することが度々あった。

4. 資料

○ 知能,学業
・ 知能偏差値  51(中1 教研式)
・ 学業成績は中の上でどの教科においてもまじめであるが控え目であり,全般に自信の無さそうな態度をとる。

○ 性格,情緒
    性格検査(YG)
性格検査(YG)

 A"型である。神経質で心配性の傾向が見られ他人との協調に気をつかい安易に妥協しやすい。物事の判断について軽率なところがある。


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