研究紀要第73号「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -109/126page
エゴグラム
自由奔放に振る舞いたいと思いながらも無理に自分を抑えている傾向が見られる。また,幼児性が高く,物事を深く考え,判断することができない面がある。
○ 家族画(KFD)
居間で家族がテレビをみたり読書をしている中で,本人だけが部屋の外に出ている。しかも羽がついている。これは,本人が家族からはみ出ていて逃げ出したさを示しているものと思われる。
○ 家族システム・力動
○ 家族の性格と養育態度
・ 父親は,学校のことは,母親に任せている。時折,生活態度や癖のことで本人をしかることがあった。
・ 母親は,教育熱心である。本人の自己中心的な振る舞いやしつけの不十分さについて祖父母から小言を言われ,本人をしかることが多い。チックについては癖程度にしか思っていない。
・ 祖父母は,孫達の教育や養育については厳格で本人については甘やかしていると父母,特に母親によく小言を言う。
○ 生育歴
本人は,生後間もないころから曽祖父母に預けられ,甘やかされ,好きなことをして育った。父母や祖父母にしかられた時は曽祖父母のところに逃げ込み,かばってもらっていた。5年の時曽祖父母が相次いで亡くなった。そのころからチックが始まっている。5. 診断
本人は3世代家族の初孫として生まれた。父母祖父母が仕事を持っていたこともあって曽祖父母が甘やかして自由奔放に育て,父母や祖父母の小言からかばっていた。小学5年の時,その都度かばってくれた曽祖父母が亡くなってからは,かばってくれる人がなくなり愛情飢餓の状態になって不安がつのり,家庭の中で狐立感を深めてますます緊張をし,情緒不安定になった。その緊張や不安がこうじてチックが現れたものと思われる。学校では癖をやめるように注意していたために担任とのラポールを欠き,ますます症状が悪化していったものと考えられる。