研究紀要第73号「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -119/126page

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6. 指導仮説(2学期の不登校に関して)

 本人の情緒の安定が図られることと学級内での人間関係が形成されること。
 また,将来への希望と勉強に対する自信を持たせることができれば問題は改善されると考えられる。

7. 指導援助

(1)本人への指導援助

<1学期の問題行動に対して>
  (A : 本人,T : 学級担任)
 3回までの面接でラポールの形成をはかり問題点の把握(夜寝つけず朝起きられない,登校しても身体がだるく勉強に身が入らない,母親が勉強のことで口うるさい)をした。
 これまでの面接で本人の不満を十分に受容したことから情緒が安定し問題行動が改善されてきた。しかし,本人が体のだるさの理由に気づくことが問題行動の十分な改善につながると考えられたので以後の面接を実施した。

T (中間テストが問題行動に関係あると予想して)「どう? 入学してから勉強の方は?」
A 「はい,初めはやるぞという気持ちだったんだけど・・・勉強もおもしろくなくなってきたし・・・」
T (受容と繰り返し)「なるほど,おもしろくなくなってきた・・・」
A 「・・・はい,中間テストの結果が悪かったもんだから・・・やったんだけど・・・」
T (受容と明確化)「そ〜う,努力したんだけれど思うような点が取れなかった・・・」
A 「ええ,もっともっとできると思ってたのに」
T (受容と明確化)「なるほど,期待はずれでがっかりしちゃった・・・」
A 「そうなんです」
T (ノーマライジング)「期待と大きく違えば誰だってがっかりするのは当然だよ」
A 「そうですよね」
T (肯定的に解釈)「がっかりするということはやる気がある証拠だよ」
A 「ええ,やろうとする気はあるんですが・・あせってしまって・・・」
T (受容と繰り返し)「なるほど,あせって」
A 「ええ,ですからいろいろ考えてしまって」
T (繰り返し)「考えてしまう・・・」
A 「ええ,夜など一人きりになると・・・」
T (受容)「なるほど,なるほど・・・」
A 「ええ,床に入るとあれもしなければこれもしなければと・・・目がさえて・・・そうなんです,それで寝つけず朝も起きられないんです,学校に行っても眠たくなるし・・・」
T (気づきを深めるため)「なるほど,なるほどそうか・・・」(大きくうなずいた)
A 「勉強しようということが結果的に体がだるくなって勉強ができないなんて,バカだな」
T (肯定的に)「体がだるいということは勉強したい現れなんだね」
A 「はい,あせってもしかたないですね・・」

 以上のように,本人の悩みを聴き情緒の安定を図ることや問題の背景に気づかせる面接を数回実施した結果,学校生活に明るい表情が見え始め学習への取り組みが前向きになってきた。

<2学期の不登校に対して>
 2回の家庭訪問でラポールの形成を図った。

T (リード)「どう? 最近家の中は?」
A 「ええ,いつもと変わんないですよ・・・」
T (受容と繰り返し)「そ〜う,変わんない」
A 「ええ・・・母ちゃんはいつも顔を見ると学校学校とうるさくて・・・父ちゃんは何か言いたそうだけどムッツリしているし・・・」


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