研究紀要第73号「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -121/126page

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った。そこで,次回までどのような対応が一番良いか二人で考えてくるよう依頼した。また,担任自身も本気で努力することを約束した。

T (父母の意欲の向上のため,敬意を表して)「今日もお忙しいところおい出いただきましてありがとうございます。お二人とも休暇を取るのに大変だったでしょう」
M 「いいえ! 親が本気にならなければと思ってますから,先生の言うことでしたら何でもしますから! 教えてください」
T (父母の意欲の強化のため,敬意を表して)「教えるなんて人生の先輩のお二人にはできませんよ。かえってお二人から教えていただきA君を元気にさせたいと思っています。
 ところで,この前お願いしましたことはどうなったでしょう?」(父親に向かって)
F 「はい,あれから二人でけんかをしながらも話し合ったのですが,私は家内の言う通り今まであの子をあんまり構ってやらなかったのが悪かったと思っています。仕事が忙しくて」
T (父親の言動の定着のため,)「エッ! お父さんご自身が反省なさったのですか。私はお父さんがそのようなことを言われるとは思ってもいませんでした。頭が下がります」

 父親の反省したことに対して「今まで本人へかかわりたくても仕事のためだからしかたなかったんですよね」と肯定的に受け止めた。

T (父親の言動を定着させるため)「お母さん 大変失礼な言い方かも知れませんがご主人は立派な方ですね。(真剣に)これほどご自分を反省なさって。感服しました。ところでお母さんはどのようにお考えになりましたか?」

 母親は過干渉であり勉強勉強と口うるさく言い過ぎたこと,弟や妹と比較したことを反省しもう少し優しくかかわり大人として扱うようにしたいと述べた。
T (受容と二人のかかわりの定着のため)「なるほどそうですか,私も本で調べたのですがお二人のようなかかわりが一番良いと書いてありました」

T (二人が決心したことを実行するため)「お二人ともありがとうございました。教えられることが多く非常にうれしかったです。
 しかし,どうでしょう。今までのかかわりを変えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。私などは自分で決めてもなかなかできなくて・・・そんなにご無理なさらなくてもいいんじゃないですか?」
P 「いや!一度決めたことですしそうしなければ本人が良くならないのでやりますよ」
T (さらに実行のため)「そうですか? ところで具体的にはどんなことをしますか?」

P 「・・・・・・」

 具体的なことまで話が進まないと実行できないので実行する内容を二人に話し合わせ決めた。

 以後,本人へのかかわりについての面接を受容,支持,繰り返し,明確化,ノーマライジング,リフレーミングの技法を用いて数回実施した。
 その結果,父母自身の情緒が安定してきて,本人へのかかわりが情緒の安定を図り社会性を育てるような対応へと変容していった。また父母が互いに支え合うような雰囲気になってきた。

8. 指導援助者の姿勢

(指導援助者は教職歴7年の男性) 指導援助者は毎年1年の各クラスから中途退


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