研究紀要第73号「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -122/126page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

学者が平均して1〜2名いることからクラスからの中途退学者の絶無を考えた。そこで生徒理解を深め適切な対応をするための努力をした。
● 4月にクラス全員の家庭訪問
 家庭訪問をし,地域的環境,家庭環境,通学経路などを把握し,日常の会話の話題として生徒とのつながりを強めた。
● 4月中に全員と個別面談
 個別面談で生徒理解を深めたことと,面接では本人の長所を認めるなどして面接に対する抵抗を和らげた。
● 週3回のクラス便り発行
 クラス便りで担任の考えや近況を紹介し担任自身を生徒に理解してもらうことに努めた。
 また,学校生括に意欲をもたせることとクラスのまとまりをつくるため,クラス便りの中でさりげなく各個人を認めたりクラス全員が互いに助け合うことなどを記事にしたりした。家庭との連絡にも使い家庭とのつながりを強めた。
● 問題行動についての理解
 参考図書や生徒指導主事から問題行動の早期発見とその対応について情報を得た。
● 研修会への参加
 県教育センター主催の「学校カウンセラー講座」に参加しカウンセリングの理論と実際を体験的に学習した。
● 生徒理解のための読書
 同僚から勧められ「星の王子様」「大村はま全集」「島小物語」など教育実践家の著書を読んだ。
 また,感性を磨き視野を広めるために日ごろから趣味の文学や絵画などの芸術に触れた。
● 自分自身の理解
 自分自身のYG性格検査,エゴグラムを実施し今までの生徒への対応を分析しより望ましい対応のあり方を考えた。

9. 考察(不登校に関して)

 本人,父母との面接を数回繰り返すうち本人の登校意欲がでてきた。そこで無理のないかたちで登校を促したら登校を始めた。初めは遅刻がちであったが,さらに面接を続けるうちに10月下旬から平常通り登校し始めた。
 不登校が改善された要因は「手引」にあるように,本人に対しては受容と支持でラボールを形成し情緒の安定を図り将来の見通しを持てるようにしたこと。父母に対しては,敬意を常に表して父母自身が自分たちで適切な対応に気づき実行するようにアプローチしたことなどが考えられる。
 また,この結果は指導援助者の並々ならぬ努力のたまものである。
 次は以上のことを図に表したものである。

考察(不登校に関して)


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。