研究紀要第74号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第2年次」 -014/137page
(6)研修意欲を高め,授業の質的改善を図る授業研究のあり方・すすめ方
問題 改善の方向 改善の具体策 配慮事項
問題点
授業の質的改善と授業研究内容の共有化を図る授業研究の進め方 が不明確なため,研修意欲が高まらない。
授業研究内容の共有化を図り,授業の質的改善に結びつく授業研究は,どのような手順・内容ですすめたらよいか。
「事前研究」
□授業研究の課題を確認し,ねらいを明確にする。
【1】事項の授業研究の課題を確認し,共通理解する。 【2】今回の授業研究のねらい(授業研究テーマ)を 明らかにする。
○自校の授業研究の課題と今回の授業研究の ねらいを,自校研究主題に照らし,先に作成 している年間推進計画に基づいて検討・確認 する。ここでは,参加者全員の目的の共有化 と共通理解を図ること。したがって全員研究 協議会等を通して十分に話し合うよう配慮す ること。学校規模によっては,前もって学年 部会・現職研修委員会等で原案を審議・作成 し,全員研修協議会等に提示する等の配慮も 必要であろう。とにかく「目的・目標の共有 化」が集団の中での自己啓発には大切なこと であるので大事にしたい。
□今回の授業研究のねらいと問題点をふまえ, 授業仮説を設定する。
【3】今回の授業研究のねらいにかかわる実態調査をし, 問題点と解決・改善点を把握する。 【4】解決,改善策を話しあい,授業仮設を考える。 ○実態調査の内容・方法については,自校の 研究組織を生かし,資料・調査係等を中心に して,問題点が浮きぼりにされるようなアン ケート設問等を工夫する。ここで明らかにな った問題点をもとに,その解決・改善策の協 議〜授業仮説設定へとつながっていく。
○話し合いにおいては,自己啓発を促せるよ う参加者各自の授業実践からの方策を出し合 い,集約しながら本時授業研究の授業仮説を 策定していくように配慮する。なお,この段 階では,解決・改善の方向だけを話し合い, 【6】の教材分析研究後に本時授業仮説を決定す る。(本時授業仮説は,したがって今回の授 業研究テーマとそれにかかわる問題点,解決 改善の方策の検討,教材研究結果からつくら れることになる。)
【5】今回の授業研究の単元・教材・学年・組・学習指導案の形成を決定する。 ○自校の「年間推進計画」においてすでに決 定している場合は,再度全員の共通理解を図 る視点から,先の計画内容が妥当かどうか, 【1】〜【4】に照らし検討・確認する。
○学習指導案の形式については,研究主題・ 授業研究テーマによって異なり特定できない が,授業仮説の検証内容と評価が学習指導過 程に明示できるものに工夫する。
【6】授業研究教材の分析研究をするとともに本時授業仮設を決定する。
○下記の内容について授業者を中心に,学年 部会・教科部会・全体研究協議会等で研究し まとめ,決定する。
:指導(到達)目標を明確にする。
:指導すべき内容(指導事項)を明確にする