研究紀要第74号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第2年次」 -037/137page
< 解 説 >
○ 昨年度の調査研究の結果を見ると,「校内研究の評価結果の活用」の内容からは,評価の実施時期 は学期未,学年末が多く,校内研修の過程における計画性のある評価とその結果の活用については意識 が低いと思われた。その要因として,校内研究の評価を委員会に任せるなど,組織的な取り組みが少な く,評価に関しての教員問の意思疎通が不足していること。また,評価結果の活用に対する認識が低い こと,校内研究の評価の研究が不足していることなどが考えられる。したがって,従来の評価内容や方 法に改善を加え,学校の実態にあった評価計画を整備し,評価結果を日々の授業に生かしていく校内研 修の態勢づくりが必要であり,そのことが,校内研修の充実や,研修に対する協働意欲を高めることに なると考えた。
○ ここでは,「校内研修における総括的評価のあり方・すすめ方」について,内容・方法を具体的に 示した。基本的な考え方として,校内研修をP(計画)−D(実施)−S(評価)の過程で推進するこ とから,各段階における総括的評価のあり方として試案を作成した。評価の内容は.各段階における試 案として示された内容・方法等に対応して示してある。すなわち,評価計画の立案は,校内研修の計画 と併行して進められなければならないし,評価の内容は,研究のねらいと密接な関連を持つものでなけ ればならない。各段階における評価内容と,評価表の形式や評価方法について例示してあるが,詳細に ついては各学校の実情に応じて改善や修正の必要があるだろう。また,評価の内容は,校内研修のすす め方に関わるものに限定してあるので,研究の内容や,児童生徒の変容,成長などについても各学校で 創意工夫を生かした評価計画を作成するのが望ましい。
総括的評価を実施していく場合には,評価のための評価にならないようにし,常に評価の結果から,研修推進や研究の内容・方法を改善していくという認識を大事にしていかなければならない。
(11)次年度に生かす評価結果活用のあり方・すすめ方
課題 改善の方向 改善の具体策 配慮事項
問題点
校内研修の評価結果を生かすないよう方法が不明確なために次年度に十分に活用されていない。
口本年度の評価結果から明らかになった 成果と 課題を生かす内容・方法 を明確にする。
【1】成果と課題を再確認する。
○各段階(PDS)での形成的評価・総括的 評価の評価結果から明らかになった成果と課 題を次の観点から再確認する。
- 成果はどんなものであったか。
- 課題はどんなものであったか。
- 成果が上がったのはどんな理由からか。
- 課題として残されたのはどこに問題があったからか。
〇再確認の方法は全員による協議会等で実施するが,研修主任を中心として現職研修委員会等による事前の考察を加える。また,評定の低い内容については,自己啓発の視点から特に重点的に取り上げるなど配慮したい。
○全員協議会等での確認の際,評価表での「要望・意見等」の内容で協議事項 に上がらなかった事項も確認するよう配慮する。
〇成果と課題を確認するときは,研修推進の全体を見通して吟味する必要がある。