研究紀要第75号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第2年次」 -060/137page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

<表2-1> 社会的距離指数のクラス全体の変容
              (単位:人)

社会的距離指数

5月 6月 10月
〜69 6 0 0
70〜74 0 0 0
75〜79 0 0 0
80〜84 4 2 0
85〜89 6 3 2
90〜94 6 7 2
95〜99 4 2 4
100〜104 3 5 6
105〜109 2 7 7
110〜  2 7 12
総  数 33 33 33

5.まとめ

 この実践研究は,第一に,一人一人の「よさ」の把握と教材研究の一体化,第二に基礎的・基本的な内容の定着を図る中で「よさ」を生かすこと,第三に,それらの学習を通して「よさ」の意識化を図ること,そして更に「よさ」を生かし,育てていくという大きな構想と指導の流れであった。

 分析と考察のところで述べたように,それぞれの段階での手だては,基礎・基本の定着と個性の伸長という面から有効であったと考える。更に今後の研究の積み重ねが必要であろう。

 なお,各学校で実践する場合には,次の点に留意する必要があると考えられる。

《1》 個の「よさ」を把握するための手がかりとな る資料の作成に時間がかかる。簡略化していく必 要がある。 《2》 基礎的・基本的な内容の分析は,児童の「よ さ」の把握と併せて指導法との研究も取り入れた 確実な教材研究が必要である。 《3》 指導の流れに明確な段階を位置づけているた め,その流れの中には指導の節目があると考える。 例えば,「よさ」を生かす段階,「よさ」の意識 化を図る段階などである。そこで,具体的な活動 を通して児童が納得し,実感できるような評価を 適切に行うことが肝要であると考える。

【授業者の感想】

福島市立福島第二小学絞 教諭  佐藤 吉郎

 大変な面もあったが,実に楽しく得るものが多い授業であった。二単元の検証授業を終えての率 直な感想である。このことは,私ばかりでなく児童にもあてはまる。以下,実践から得たものの中 で特に心に残っている事を述べてみたい。

1.生徒指導の機能を生かした授業

 本研究は,換言すれば「生徒指導の機能を生かした授業」の研究とも言えよう。実は,昨年度から個人研究として取り組んできたが,実際の場面でどんな手だてを講ずればよいのか,不明な点が多くあった。今回の授業での一つ一つの手だてがその解決策であった。何よりの収穫である。

2.グループ編成とグループ学習の工夫

 個性を生かすために大切なことは,成員間の擬集性を高め支持的風土の学級を作ることだと考えている。今回は特に,場に応じたグループ編成を何度か行った。グループ活動を通して国語科のねらいの達成,児童の相互理解の深まりの両面から成果があった。これは,「よさ発見カード」の記入の活動が生かされたものと思われる。この実践を生かしながら,さらに継続してみたい。

3.多面的な児童理解とカルテの活用

 「よさ」を,児童自身,教師,親のそれぞれの目で見つけたことは,国語科の授業に限らず児童の指導全般にわたって活用できた。また,これをカルテに記入し,授業に活用したことも,個性を生かした指導を進める上で極めて有効な方法であったと思われる。今後も活用したい。

 検証の授業の考え方や手法を生かした実践を「詩の広場」でも行ってみたが,確かな手ごたえを得ることができた。今日的課題である本テーマについて,具体的な方向性が得られたこと,さらに,実践を通して国語が好きになった児童が増えたことは,この上もない喜びである。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。