研究紀要第75号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第2年次」 -077/137page

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3.数学科における実践研究の内容

(3)小集団学習を取り入れた授業

 小集団学習のよさについては,これまでにもいくつかあげられてきている。

 第一に,知識や情報を獲得し,思考を深化させる学習目的にふさわしいこと。

 第二に,知識やアイデアを「集める」話し合い,「まとめる」話し合い,「確かめる」話し合いを経るうちに,知識の拡大と深化が図られること。

 そこで,これらの論理に基づいて解決の見通し及び課題解決の段階で,「よさ」を生かす観点から小集団学習を取り入れるために,次のことを十分に留意した。

《1》 小集団の編成にあたって

ア 話し合いが気軽にできて,学習活動が活発に なるようにする。

○全員が話し合いに参加できるように構成人数を4〜5人にする。

○話し合いがスムーズに進められるように,リーダーになれる生徒が入るようにする。

イ 多様な考えが出せるようにする。

○学力の高い生徒の構成人数のバランスをとる。

○お互いに考えを出し合い,考えが深まるようにするために友人関係に配慮する。

《2》 解決の見通し及び課題解決の段階で,「よさ」を生かす工夫

 課題に対して,自力ではなかなか見通しを持てなかったり,解決ができなかったりした生徒も,小集団学習により解決の糸口がつかめたり,気がつかなかった解決方法に気がつくなど,思考を深めることができる。

 そこで,個と集団とのかかわりから,一人一人の「よさ」を生かすために,解決の見通し及び課題解決の段階における小集団学習の活動のねらいと「よさ」を生かす手だてとの関連を十分に考慮した。次ページの図4−1は小集団学習のねらいと「よさ」を生かす手だてを考えた指導過程の基本型である。

(2)自分の「よさ」を意識し.生かすための単元全体を通しての自己評価・相互評価

《1》 自分の「よさ」の意識化を図るための自己評価・相互評価

 自分の「よさ」を生かすためには,「よさ」について認識することが必要であると考える。学習活動中に自分の「よさ」を認識することもあるが,自己評価・相互評価により,あらためて自分自身を見つめ直すことや今まで気づかなかった自分や級友の「よさ」をも認識することができるのである。

 そして,単位時間ごとの自己評価・相互評価を単元全体を通して継続することによって,自他の「よさ」の意識が深められる。

《2》 自己評価・相互評価のための学習状況カード

 単位時間における授業への取り組みを次の視点で自己評価・相互評価し,さらに単元を通して自己の変容が分かるような学習状況カードの内容を工夫した。

○学習への取り組み

 ・興味・関心,意欲 ・意識・態度(協力,自己認識)

○学習の理解度(正答数)

《3》 生徒一人一人の「よさ」をとらえ,生かすための個人カルテ

 生徒一人一人の「よさ」をとらえるため,単位時間の反省を積み重ねることによって,単元全体を通して総合的に評価する。そして,それを次単元の指導計画の改善に役立てられるように,下記の資料を個人カルテに取り入れた。

○「よさ」の発見力一ド ○日常の観察記録○交友調査記録     ○学習状況カード


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