研究紀要第75号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第2年次」 -086/137page

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《2》 課題解決に対する個人の活動

  図4−4 からも分かるように,課題に対して自 分なりに解決方法を3通り考えられた生徒の数が 単元の始め1,2時間の授業では,ほとんど見ら れなかったが3時間目あたりから増えてきている。 それとは逆に,1通りも見つけられなかった生徒 の数は減ってきている。

図4−4 課題解決に対する個人での考え方の数
<図4-4>課題解決に対する個人での考え方の数

図4−5 課題解決に対する班活動における考え方の数
<図4-5>課題解決に対する班活動における考え方の数

 また,図 4−5 によると,班での解決方法が, 1時間目は「見つからない」が極端に多かったが, 時限を追うごとに減り,「3通り見つかった」が 2時間目あたりから多くなってきた。これらのこ とから考えると次のことが言える。

 自分なりに解決方法を考えることができた生徒が増えるとともに,班学習での結果いっそう多くの解決方法を考えられる生徒も増えてきた。

 これらのことと42ページの図 4−2 項目2 を 併せて考えると,自分なりに解決方法を持って班 学習に参加し,お互いに自分の考えを出し合って 情報を提供し合う中で新たな解決方法が考えられ るのである。

 また,班学習を行う場合は話し合う雰囲気も大切である。班学習が好きであるのは,単に解決の糸口がつかめるばかりではなく,一つの課題に対して知恵をしぼり,みんなで助け合って考えることのすばらしさを感得できるからであると考える。

図4−6 班での課題解決
<図4-6>班での課題解決

  図4−6 から考えると,班で課題を解決するこ とがよくできるようになってきている。日常の観 察記録から考えると,解決方法の糸口がつかめな い生徒が,はじめのうちは班に頼り,級友の話を 聞いたり,ノートを見てかく場面が多く見られた。 しかし,単元の終りごろになると学習の仕方がつ かめたのか,課題解決に対する意欲が触発された のか,自分なりの考えを持って班活動に参加する 場面が多く見られるようになってきた。

 M男の「おれらの考えと同じだ」のつぶやきに も見られるように,自分なりの解決方法を持てる ことが自信につながり,班学習への参加の仕方も 「理解より課題解決へ」と変わってきたのではな いかと考える。自分なりの考えを持つことにより, 「自分は,どこでどのように間違えたか。班の考 えとどのように異なるのか」と比較することや, 班での役割分担による記録,カード配布,司会な どの活動を通して自分の「よさ」に気づくもので ある。

 そして,「おれたちの考えと‥」という班の中 の一員としての自覚が深まり班の質の「よさ」が 生れてくると考える。これらのことから考えると 小集団学習は,課題解決ばかりでなく,一人一人 の「よさ」を生かすとともに,さらに班の好ましい 協力関係をつくることにも大きく関係してくる。


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