研究紀要第79号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第3年次」 -034/135page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

(3) 研究仮説と実践研究の方策
1 研究仮説の設定と実践への具体化の方向
 実態調査を通して明らかにされた,個人差に応じた指導の必要性や一人一人のものの見方や考え方を大切にする指導の重要性という課題を実践的に解決していくために,研究のための理論に基づいて研究仮説を設定した。
 この研究仮説をもとに,各教科ごとに教科における研究仮説(教科仮説)を設定し,実践を通して主題を追究した。
 更に,研究仮説を検証していくために,「実践への方策」と「実践への具体化の方向」を図1−2のようにとらえた。教科の特性によって多少の違いはあるものの,おおよそこのような形で実践への具体化の方向として位置づけられるものと考える。
 なお,「実践への具体化の方向」については,各教科の実践の中で取り扱われる教材,題材等に即して更に具体化されていくものである。

<図1−2>研究仮説と実践への具体化の方向
                【研 究 仮 説】
 学習指導において,児童生徒一人一人の持っている「よさ」を把握し,その「よさ」を生かす視点から,達成度の個人差と興味・関心,適性に応じる指導の在り方を工夫すれば,基礎的・基本的な内容を身につけさせるとともに,一人一人の個性を生かし,伸ばすことができるであろう。

実践への方策 実 践 へ の 具 体 化 の 方 向
○一人一人の持っている「よさ」の把握 ・児童生徒一人一人の持っている「よさ」を把握するために段階に分けた調査をする。
(1)第一段階の「よさ」の把握‥…・児童生徒の全人的な「よさ」の観点を設けた調査
(2)第二段階の「よさ」の把握……児童生徒の教科学習における「よさ」の観点を設けた調査
○「よさ」を生かす視点 ・領域・題材に応じて,教材に対する児童生徒の具体的な見方や考え方が表れる資料を準備する。
・教材に対する見方や考え方等の「よさ」を学習場面に生かせるような指導の手だてを工夫する。
○達成度の個人差に応じる指導の在り方の工夫 ・領域・題材に対する一人一人の達成状況により,個別指導等の個人差さと応じた指導の在り方を工夫する。
○興味・関心,適性に応じる指導の在り方の工夫 ・領域・題材に応じて,学習方法を選択させたり表現方法を選択させたりする。
・思考の型,行動特性,表現特性に応じた指導の在り方を工夫する。
○基礎的・基本的な内容を身につけさせる ・領域・題材に応じて,その教材でねらう基礎的・基本的な内容を意図的に取り上げ,定着させ,更に発展的に定着の深まりを目指す。
○一人一人の個性を生かし,伸ばす ・学習内容や学習活軌表現したものなど具体的なものから,観点を設けて自己評価や相互評価などを通して児童生徒一人一人の「よさ」を意識化させていく場を設定する。
・意識化された「よさ」を生かす指導を繰り返すことによって,「よさ」を伸ばしていく。

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。