研究紀要第79号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第3年次」 -037/135page
II 小学校図画工作科における実践研究
1.図画工作科における研究の仮説
(1)「基礎的・基本的な内容」.「よさ」とそのかかわり
図画工作科の学習指導の過程には,観察・鑑賞の対象や児童の内面が表出する具体的な作品と活動が存在する。その対象や作品と活動を通した指導と評価によって,基礎的・基本的な内容の定着が図られる。
また,学習活動の各段階において,事前に把握した児童一人一人の「よさ」を生かしながら,「よさ」を認め合わせるとともに,作品と活動を通して実惑し納得した「よさ」を意識化させることによって「よさ」が伸ばされるものと考えた。
これらの活動には,観察力,判断力,思考力,表現力,創造力等のジュクタビリティが深くかかわり,刺激されながら次第に高められるものと考えた。その高まりによって,更に,基礎的・基本的な内容が定着し,「よさ」を生かし,伸ばすことができるものと考えた。
そこで,「基礎的・基本的な内容」と「よさ」のかかわりについて下図のようにとらえた。
基礎的・基本的な内容
◎学習指導要領の教科の目標
◎第6学年の目標及び内容
◎学年の指導目標
○当該学年で掲げた指導の目標◎題材の指導内容
○設定した題材によって定着を図ろうとする指導内容◎教材の持つ価値
○学習指導に用いた教材によって、人格形成のために得ることができる総合的な価値定着し、伸ばす指導
←→
ジェクタビリティ ←→
学習過程で表れる「よさ」
◎基本的な人格形成にかかわる「よさ」
○興味・関心、態度、意欲、根気強さ◎対象の観察・鑑賞にかかわる「よさ」
○ものの見方、感じ方の観点と感性◎表現活動にかかわる「よさ」
○造形性への思考、表現意図
○表現の手段の選択、創意工夫◎主体的な学習活動の「よさ」
○経験や既習の事項を生かす主体的な学習活動生かし、伸ばす指導
(2)研究の仮説
図画工作科学習指導において,「基礎的・基本的な内容」と「よさ」を以上のようにとらえるとともに,教科の仮説を次のように設定した。
図画工作科学習指導において,児童一人一人の持っている「よさ」を把握し,児童一人一人の表現の題材に対する見方や感じ方を基に,造形性・構想への思考,創造性への意識を生かす指導の在り方を工夫すれば,作品や活動を通して実感し納得した自分なりの「よさ」が意識化され,表現・鑑賞の基礎的・基本的な内容を身につけさせるとともに,一人一人の「よさ」を生かし,伸ばすことができるであろう。