研究紀要第79号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第3年次」 -041/135page
(2)展開の概要
実践校:福島市立福島第二小学校
第6学年1組 33名
題材名:形や色の効果を生かして「物語の絵」を描く
教 材:「おじいさんのランプ」
1 指導計画について
ここには,題材の目標と指導の段階ごとの目標を示した。指導の段階ごとの目標は,基礎的・基本的な内容の定着と「よさ」を生かす面から設定した。目標は、指導過程の中で具体化されていく
ア 題材の目標
○ 絵画の造形的な見方や表し方を理解し,心に強く残った物語の情景を思い浮かべ,物語の主題を把握して想像力を働かせ,構想を練り,絵に表すことができるようにさせる。
○ 主題がよくわかるように情景の視点や構図を考え,遠近や明暗,形や主調色などを工夫して表現できるようにさせる。
○ 表現の手順に見通しを持たせ,材料や用具などの性質を生かして表現できるようにさせる。
○ 他から認められた「よさ」や自分で気づいた「よさ」を意識化し,それらを生かして主体的に活動できるようにさせる。
イ 指導の段階とその目標
2時間連続の授業を5回(10時間)実施し,各段階ごとの目標は次のようにした。
≪第一次≫ 1,2時間目(鑑賞,発想・構想)
○ 絵画の造形的な見方や表し方を理解させるとともに表現の多様性を把握させ,自分なりの絵画の表現に生かすことができるようにさせる。
○ 鑑賞作品の見方や感じ方を大切にすることができるようにさせる。
○ 物語を聞き,想像力を働かせて物語の絵の構想を練らせ,アイディアスケッチができるようにさせる。
≪第二次≫ 3,4時間目(下絵の製作)
○ 絵画を形づくる要素を理解させ,絵画の表現活動の中でその主題を追求することができるようにさせる。
○ 児童の絵画の表現活動において,お互いの表現意図や構想の「よさ」を認め合わせ,生かすことができるようにさせる。
≪第三次の一≫ 5,6時間目(彩色)
○ 児童どうしの下絵の観察を通して絵の主題の表し方と構図の多様性に気づかせ,彩色では自分の計画によって画面を効果的に表すことができるようにさせる。
○ 児童相互の評価活動によってお互いの構図や彩色する色あいの計画の「よさ」を認め合わせ,生かすことができるようにさせる。
≪第三次の二≫ 7,8時間目(彩色)
○ 児童どうしの絵の彩色過程と活動の観察を通して彩色の色あいの感覚や造形性の多様さに気づかせ,自分の計画の中に生かして画面を効果的に表すことができるようにさせる。
○ 児童相互の評価活動によってお互いの彩色の工夫や色あいの計画の「よさ」を認め合わせ,生かすことができるようにさせる。
≪第四次≫ 9,10時間目(仕上げ,鑑賞)
○ 作品の仕上げの活動を通して絵画を造形的に表現する技能を高め,表現の喜びを味わうことができるようにさせる。
○ 完成した児童どうしの作品をお互いに鑑賞し,その喜びを味わうことができるようにさせる。
○ 本題材の学習過程で得られた自分の「よさ」を意識して伸ばし,他の活動に生かすことができるようにさせる。
2 指導過程について
指導過程には,「基礎的・基本的な内容の定着」,「ジェクタビリティ」,「『よさ』を生かす指導」「『よさ』を生かす活動」の欄を設定し,仮説との関連を明確にした。
次ページに示す指導過程は,彩色段階である。ここは.「学習の手引」の中の遠近と明暗の出し方を参考にしたり,「表現の手引」の技法を参考にしたりする場面である。
また,「ジャンプカード」の活用を図り,彩色の方法、色あい,主題の表出,取り組み等の「よさ」を発見して記入し合わせる活動も組み入れた。