福島市立福島第二小学校 教諭 佐藤 吉郎
「基礎・基本の定着と個性の伸長」に関する研究の協力員として,国語科と図画工作科の2科目にわたって2年間検証授業をさせていただく幸運に恵まれた。昨年度の国語科とは違って,今年度の図画工作科は苦手中の苦手教科である。しかし今振り返って見ると,これがかえって昨年度とは別な面から多くを得ることが出来たと感謝している。
以下,特に心に残っている点を述べてみたい。
1. 「学習の手引」や「表現の手引」の活用
図画工作科の苦手な私が,授業を進める上で最も役立ったのが標記の2種類のマニュアルであった。本題材で定着を図る基礎的・基本的な内容が,発想・構想,下絵の製作,彩色,鑑賞の各段階ごとに重点化され,絵や図表等も加えられて児童に分かりやすく作成されていたからである。しかも,これらの手引は,児童の多様な発想を授助するように,いくつか例示する形で作られていたことも,ジェクタビリティを刺激し,高揚させる上で効果的であったと思われる。
2. 「よさ」の把握とカルテの活用
昨年度からの継続実践がゆえに,より実用的で,効果的な活用を図ることができたと思われる。
特に,タック紙の座席表を使用し,それを授業終了後にカルテにてん付する方法などは,他の教科でも活用できそうである。更に,昨年度の国語科で作成した親,教師,児童自身による「よさ」のカルテが基本的には今年度も図画工作科で活用できたことも,学級経営を進める上での一つの方向性が見えたように思えてならない。
3. 「ホップカード」, 「ステップカード」, 「ジャンプカード」の活用
これらは, 「よさ」を伸ばす手だてとして,各段階で活用した。昨年度国語科で用いた手法の延長だととらえている。個人の製作活動という点では,作文や詩の学習と共通する面も多く,相互にかかわり合いをもたせながら,認め合う場を設定したことは,個を伸ばすとともに,学級集団の凝集性を高める上からも有効な活動だと思われる。
基礎・基本とは,読み・書き・計算のいわゆる3 R′Sにhuman relationships(人間関係)を加えた4R′Sととらえている私にとっては,重宝な実践であった。 |