研究紀要第79号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第3年次」 -054/135page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

3.英語科における実践研究の内容
実践単元

Lesson5 Emi Likes To Take Pictures
(New Horizon English Course 2)


(1)単元の展開について
1 単元設定の趣旨
 本課は, 3つのパートから成り,すべて対話形式で構成され,内容も,日常生活を取り扱っており比較的取り組みやすい教材である。
 また,ここで学習する言語材料は,不定詞の副詞用法(目的) ,名詞用法,未来時を表す動詞の形としてのbe going to〜である。
 この中で, be going to〜は既習事項の進行形と同じ形態をとるため,疑問文や否定文を作ることも容易であり,これを用いての表現活動を行わせることも可能である。
 研究の対象となるこの学級の生徒は,事前の調査結果や授業の取り組みの様子からみて,英語学習に対しての興味・関心が比較的高いと考えることができる。
 また, 4技能の面から全体的な傾向をみると「書く」 , 「読む」については,一定のレベルに達していると考えられるが, 「聞く・話す」については,不十分であり英問英答に対しての反応も遅い。更に, 4技能の習得状況については,個人差が大きく,一人一人の生徒についても得意,不得意がある。
 これらの実態を踏まえて,指導にあたっては,Top - Down式の指導過程を基本にすえながら,生徒の4技能の実態を考慮に入れ,一人一人の生徒の持つ表現特性を生かすことができるような学習活動を数多く取り入れるとともに,授業の終わりに自分の得意とする表現方法で,その時間に学習した言語材料を用いた言語活動を行わせることにした。
 また,単元のまとめの段階で,総合的な言語活動の場を設定し,テーマを生徒の興味・関心に応じて選択させ,既習の言語材料を使っての表現活動に取り組ませることにした。
 これらの学習を展開することにより,言語材料等の基礎的・基本的な内容の定着が図られるだけでなく,4技能のバランスのとれた育成と,生徒一人一人の持つ「よさ」が生かされるものと考えた。
 更に,これら一連の活動を通して,生徒に自分の持つ「よさ」を意識させるために,自分の「よさ」についての観点から自己評価を行わせるとともに,まとめの言語活動の場で自分,友達,教師の三者による「よさ」の認め合いを行うことにした。
2 単元展開の概要
ア,単元の目標
●絵美,マイク,ポールの対話を理解させるとともに,内容についての問答ができる。
●日本語と英語の文の構造及び文における語順の違いを知り,「to―動詞の原形」を用いた表現に慣れさせ,その運用に習熟させる。
●一人一人の持つ表現特性を生かす活動を行うことにより,自らの「よさ」を意識させるようにする。
イ,指導計画の概要

段階 指 導 の ね ら い 「よさ」
基本構造把握 1 ○不定詞の副詞用法及び名詞用法について、その基本的な構造を理解させる ●「よさ」の把握

・教材にかかわる生徒一人一人の表現特性をとらえる

 

言語材料の理解 2 ○Part1の対話の内容を把握させ、絵美とマイクが昨日の放課後それぞれなにをしたか理解させる

○目的を表す不定詞の副詞用法を理解させる

●「よさ」を生かす

・表現特性に応じた意図的指名

3 ○絵美に見せられた京都の写真を見て、ポールは日本の中学校の修学旅行や京都の寺についてどう思ったか理解させる

○不定詞の名詞用法を理解させる

言語材料定着 4 ○不定詞の副詞用(目的)と名詞用法の表現に慣れさせ、その運用力を高めさせる ●「よさ」を生かす

・表現特性に応じた学習活動

言語材料理解 5 ○Part3のマイクと絵美の対話分の内容を理解させるとともに、どこかへ誘う言い方とその応じ方の表現に慣れさせる

 

●「よさ」を生かす

・表現特性に応じた意図的指名

言語材料定着 6 ○be going to+動詞の原形の表現に慣れさせ、その運用を高めさせる

●「よさ」を生かす

・表現特性に応じた学習活動

まとめの言語指導 7〜8 ○Lesson5と既習の言語材料を用いて自己表現活動ができる ●「よさ」を生かす

・興味・関心に応じた課題選択

・表現特性を生かした言語活動

●「よさ」の意識化


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。