研究紀要第79号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第3年次」 -062/135page

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 この意図的指名は,生徒側からみれば,他のグループの活動内容を知り,お互いの表現方法の違いに気づくことにつながったものと考える。
 また,基礎的・基本的な内容の定着の面では,4技能のバランスのとれた育成につながっていったと考える。「よさ」を生かす面からは,自分の表現特性に気づかせる上で有効であったと考える。
3 総合的な言語活動へつなげるための表現活動
 単元の最後に行うまとめの言語活動において,生徒一人一人が自らの「よさ」を発揮して取り組むことができるようになるためには,学習した言語材料の定着とそれを用いた表現活動に慣れておくことが大切である。そこで,授業の終わりにペアによる表現活動として「ミニミニ言語活動」を位置づけた。学習プリントをもとに,その時間に学習した言語材料を用いて,簡単な表現活動を行った。はじめのうちは,ぎこちないやりとりが目についたが,回を重ねるごとにスムーズに表現活動を進めるペアが多くなってきた。
 まとめの言語活動での各グループの生き生きとした発表は,この活動の積み重ねの成果であると考えられる。
4 T−Tの導入
 T−Tを取り入れた意図は,生徒一人一人の「よさ」を的確にとらえることと,指導の個別化を図ることにより,基礎的・基本的な内容の定着を目指したものである。
 授業の中で,お互いが意図を持って,きめ細かな指導ができるように.指導過程の中に,TI、T2の活動について明記した。
 内容の定着の面では,二人の教師が生徒の能力に対応した個別指導を行うことにより,言語材料の確かな定着が図られたと考える。「よさ」を生かす面では,生徒の持つ表現特性に応じた指導助言を与えることにより,生徒が,自らの「よさ」を意識しながら活動を進めていったと考える。

(3)「よさ」を生かし.意識化させる指導について
1 「よさ」を生かした言語活動
 単元の最後に,本単元で学習した言語材料を用いて行う総合的な言語活動の場を設定した。これは,「英語を理解し,英語で表現する基礎的な能力を養う」ための英語の内容の一つの柱である言語活動の場で,単元を通して育ててきた生徒一人一人の「よさ」を,更に生かそうとする意図を持つものである。
 「部活動」,「家族」,「友達」,「学習」の4つのテーマを示し,生徒の興味・関心に応じて選択させ,同テーマごとにグループ分けをし,対話文を作成した。
 対話文作りから発表までの一連の流れの中で,「聞く・話す」が得意な生徒は,発表の場面で数多くせりふを言ったり,あるいは,発表内容について質問されたときに答える,「読む」,「書く」が得意な生徒は,みんなで考えた英文を繰り返し読み,意味内容に誤りがないかをチェックしたり,みんなから出された英文を書き取るなどそれぞれの表現特性に応じて活動した。
 これらの学習の取り組みから,生徒一人一人が自らの持つ「よさ」を除々に意識し,「よさ」を生かして主体的に活動に参加する様子をうかがうことができる。
 また,生徒一人一人の持つ「よさ」についての意識化に関する調査から,表3−2のような結果が得られた。
 これは,学習を通して「自分の得意な面が生かせたか」についての調査で,第4時,第6時,第8時に行ったものである。
<表3−2>「自分の得意な面が生かせたか」
<表3−2>「自分の得意な面が生かせたか」
 学習が進むにつれて,除々にではあるが,自分の得意な面が生かされたと自己評価する生徒が増えてきている。
 この自己評価からもわかるように,表現特性に応じたグループ学習や興味・関心に応じた言語活動という具体的な活動を取り入れたことにより,

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