研究紀要第80号 「情報活用能力の定着と個性の伸長に関する研究 第2年次」 -069/135page

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2.1年次の実践と2年次の研究計画の概要
 本研究は,「情報活用能力の育成に関する研究」として昭和63年2月から2年計画によりスタートした。第1年次は,情報活用能力に関する理論研究と情報活用に関する基礎調査を行い,第2年次の研究に向けて評定尺度の作成と実践モデルの作成並びにその試行・検証を行った。
 第2年次は,第1年次の研究成果を基に,評定尺度I・IIの補正,教育実践内容の焦点化,実践に即した育成プロセスの作成等を行うとともに,研究協力校における実践的研究を通して情報活用能力の育成の在り方を追究することにした。
 図2に,その概要を示す。
図2 研究計画の概要
第一年次

情報活用能力の育成に関する理論研究

情報活用に関する調査研究

目標への到達度を測定するための評定尺度T・Uの設定

情報活用能力育成プロセス(モデル)の作成

情報活用能力育成に関する検証授業の実践

第二年次

評定尺度 I・II の補正

実践的研究

評定尺度による教育実践内容の焦点化
          ↓(事前調査)
実践計画と育成プロセスの作成
          ↓(研究仮説の設定)
       研究の実践
          ↓
評定尺度による研究結果の分析と考察
            (事後調査)

 

研究のまとめ



3.評定尺度I・IIの補正
(1)目標要素の概念規定と文言の補説
 評定尺度Iは図4に示すように,児童生徒の情報活用能力が育成された状態を教師の観察によって評価するために作成されたものであり,校種に関係なく利用できるようになっている。実践的に利用するに当たっては,目標要素を児童生徒の発達段階に応じて更に具体化する必要がでてきた。このため,実践研究に先立って12の要素のキーワードともなっている「情報」「情報の重要性」「情報モラル」「情報手段及び特徴」等の文言の概念を規定するとともに,内容の補説を行った。
(2)「情報」に対するイメージ調査
 図5は評定尺度Iの状態像を基に作成した評定尺度II(児童生徒の自己評価表)の一例で,発達段階(小・中・高校)を考慮して作成した。
 これらは児童生徒が十分理解できるよう,特に文言の表現に工夫を加えてきた。しかし,「情報」という用語を用いているものについては,「情報」そのもののとらえ方によって評定結果が異なってくるだろうと予想された。そこで「情報」のイメージが調査側の意図するものとどの程度食い違っているかを調べるため,「情報」に対するイメージ調査を行った。その結果,8〜9割が調査例の意図するイメージでとらえていることが確認されたので,特に補説は付け加えないことにした。
図3は調査結果(中学年女子)の一例である。

質問H あなたは「情報」が私たちの生活の中で重要な働きをしていると思いますか。
質問I あなたは他人の迷惑を考えて「情報」を利用したり伝えたりしていますか。
図3 「情報」のイメージ調査
図3 「情報」のイメージ調査

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