研究紀要第80号 「情報活用能力の定着と個性の伸長に関する研究 第2年次」 -072/135page

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III 研究実践
1.小学校における研究実践

  「情報の収集・選択・処理能力」を高める実践例
    〜算数科の指導を通して〜


 本研究協力校は,昭和61年度から「個性を生かす学習指導の創造」を研究テーマに,学習過程での児童理解を深め,一人一人の個性に応じた援助指導のあり方について実践的な研究を進めている。
 また,平成元年2月にパソコンが8台導入され,学習の多様化を図るための方法を具体化しながら,本校の研究テーマにせまるための一方策としてパソコン活用の研究も進めている。
1.実践計画の概要
 多くの情報がはんらんする社会の中で生活している児童にとって,いろいろな情報を選択して主体的に活用し,新しい情報の創造ができるような能力を小学校の段階においても育成しておくことが大切であると考え,標記の情報活用能力を育成する研究を実践することにした。
 研究の手順として,事前調査を実施し,調査項目で低い傾向にある要素を洗い出し,その向上のための具体的な手だてを講じながら実践することにした。
(1)評定尺度による事前調査の結果と考察

図1 事前調査(評定尺度I.II)
図1 事前調査(評定尺度I.II)

 図1の調査結果から学級の傾向を見ると,各要素について,特に落ち込んでいる要素は認められないものの,全体から見て,A収集,B選択,C処理,K特徴,L操作等が比較的低い要素として認められた。
 原因として考えられることは,要素A,B,Cについては必要に応じで情報を収集し,目的に応じた選択・処理をするといった児童の情報活用能力を育成するための適切な手だてがなされていなかったことがあげられる。
 同様に,要素K特徴,L操作についても,パソコンの導入が平成元年2月であったことから,授業で使用する機会がまだ少なかったため,当然の結果と考えられる。
 これらの低い傾向にある要素は,情報活用能力を育成するためにも重要な要素であり,他の要素との関連を図りながら指導していけば,各要素の全体的な向上が図れると考えた。
(2)研究の構想
 事前調査の結果から,情報の収集,情報の選択,情報の処理についての能力を高めていかなければならないことが明らかになった。
 そこで,6学年の算数科における単元「資料の調べかた」の授業実践を通して,自分に必要な情報を収集・選択させ,目的に応じた処理ができるよう意図的・計画的な指導をしていけば,要素A収集,B選択,C処理について高めることができ,情報活用能力の育成につながると考えた。
 更に,K特徴,L操作については,何よりもパソコンに触れる機会を多く持つことが最も効果的であると考え,教育活動全般にわたりパソコンをできるだけ使用するようにした。
[授業での情報活用能力育成のための手だて]
1 授業のねらい
 自分で調べたい資料を集め,その分布の様子や特徴を調べるために,度数分布表や柱状グラフを作成し,統計的な考察をしたり,表現したりできるようにする。
2 情報の収集・選択
 学級のスポーツテストのデータ,発育測定の

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