研究紀要第80号 「情報活用能力の定着と個性の伸長に関する研究 第2年次」 -087/135page

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    ●データを正しくグラフ化できたか。  
7.グラフ化して気付いたことをノートにまとめる。 10 ●自分の言葉でまとめることができたか D情報の創造
H情報の重要性
8.エンゲル係数について教師の説明を聞く 5 ○エンゲル係数について,歴史的な解釈と現代的な解釈とを付加する  
9.データ項目から当てはまる部分を抜き出し,自分たちでエンゲル係数を算出する。 10 ●正しい項目を抜き出して計算できたか B情報の選択
C情報の処理
L情報手段の操作
10.グラフやエンゲル係数を見て分かったことを発表する。 5 ●自分の言葉で発表できたか。
D情報の創造
H情報の重要性


3.結果と考察
(1)事後調査の結果
 評定尺度II(事後)を分析したところ(図3)・第一の結果:C処理やD創造の2項目よりもA収集やB選択の方がより高い得点を示している。
・第二の結果:T責任の項目の得点に好結果が得られた。
図3 評定尺度II(・‥事前 ―事後)
 図3 評定尺度II(・‥事前 ―事後)

・第三の結果 男子の方が女子よりもL操作における事後得点が高くなっている。
等の特徴を得ることができた。

(2)研究の成果と今後の課題
1 研究の成果
 事後調査の結果の前記のような特徴(向上)がみられたが,まず第一の結果から,情報の処理,創造と情報の収集,選択とは常に表裏一体であり,これらは,情報に対する一連の「ひとしごと(川喜田二郎)」として,生徒が自らの主体性を伴いながら諸情報に対処していくことの大切さを暗示していることがうかがえる。第二の結果から,実際に家計の収支状況に触れたためにその重要性が分かり,責任を持って取り扱うことの大切さを実感したようである。そして第三の結果からは,実際にパソコンに触れて操作すればするほど,自分が納得できる操作法をより確実に身に付けたいとする欲求が強くなってきたことがうかがえる。これらの欲求を充足させるための対処法としては1)パソコンの台数を増やすという物理的側面と,2)自分がパソコンを使っているのであって使われているのではないという実感を得たいとする心理的側面の両面からの解決策が考えられる。
2 今後の課題
 「あまりコンピュータを扱ったことがないので,普段はできそうもない支出のまとめをすぐ円グラフにできるなんてすごいなあと思った。でも良く考えてみると,コンピュータではできない,人間だからこそできる大切なものを忘れてはいけないと思う。」との生徒の反省記録がある。情報活用能力を育成していく上での留意点を示唆しているとも思われるこの記録から,本研究の12要素の1つ1つの大切さを再認識させられた。

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