研究紀要第80号 「情報活用能力の定着と個性の伸長に関する研究 第2年次」 -088/135page

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 3.高等学校における研究実践

 「新たな情報を創造することができる」力を高める実践

 −コンピュータクラブの指導を通して−


1.はじめに
 この学校は,社会の情報化に対応し,数年前からコンピュータクラブ(特別活動)を設置し,情報処理教育を推進している。普通高校のため教育課程の中でコンピュータを利用する科目は少ないが,コンピュータに関心の高い生徒には,数台のパソコンを利用してコンピュータリテラシーの育成を図っている。
 これまで,夏季休業中に当教育センターの施設設備を利用して情報処理に関する特別講習を行ってきた。今年度は,研究協力校として,アプリケーションソフトの活用を中心に情報活用能力の育成を目指し,研究に取り組むことになった。

2.実践計画の概要
(1)事前調査の結果と考察
 研究に当たり評定尺度I,IIによって事前調査を実施した。その結果は図−1のとおりである。
図1 評定尺度I.IIによる事前調査結果
 図1 評定尺度I.IIによる事前調査結果

 評定尺度IIでの低い要素は,新たな情報を創造する(要素D2.5)や情報科学の基礎の理解(要素J2.0)であった。ファミコン等の経験からコンピュータを理解していると答えた生徒は数名いるが,コンピュータを授業で取り扱っていないので,コンピュータの基本的な操作(要素L)に不安を持っている生徒が多いことが分かった。
 教師による評価より高い結果を示している要素には,「情報化社会の特質を自分なりに認識できている」(要素F,教師2.7,生徒4.3)や「情報の重要性を認識している」(要素H,教師3.3,生徒3.7)などがある。
 また,個人ごとに見ると各要素とも高い評価を示し,全体的に自信を持つ生徒,コンピュータゲームなどの経験を通して積極的に取り組んだ生徒(S),そして調査要素のすべてに対して自信がなく低い評価を示した生徒,情報に対して主体的に取り組む姿勢が見えない生徒(T)など,個人差が大きいことも明らかになった。
図2 個人プロフィール
図2 個人プロフィール

(2)研究実践の構想
1 研究の視点
 評定尺度IIの調査で,「情報の処理と創造力の形成」の領域と「情報科学の基礎の理解」(要素J)が低くなっているが,この中から「新たな情報を創造することができる」(要素D)に焦点を当てその育成のための研究をすることにした。
 「情報の処理や創造力」を高めるため現在一般に広く使われている「表計算ソフト」を用い,統計資料などの数値情報をグラフ化するなどしてビジュアル情報に加工する学習が有効であると考えた。研究実践に当たっては,現代社会の中から題材を選び,データの収集,整理,グラフ化までを取り上げることにした。

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