研究紀要第83号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第4年次」 -035/123page

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道徳の時間の学習における実践への具体化の方向

・ 道徳的価値に対するその子らしい見方や考え方を調査する。
 それによって
(1)道徳の時間で学習する道徳的価値に対する見方や考え方の広がりを把握する。
(2)道徳の時間で学習する道徳的価値に対するそれまでのその子の見方や考え方を意識させる。
・ 児童生徒のその子らしい見方や考え方が具体的に表出できるような主題を構成する。
・ 道徳的価値に対するその子らしい見方や考え方を学習場面に生かせるような指導の手だてを工夫する。
(道徳の時間の指導では,道徳的実践力の育成をねらいとしているので達成度よりもむしろ長期間かけての変容を目指す指導を心がけていく。)
・ 一人一人の持っている見方や考え方を交流し合う方法や場の設定を工夫する。
・ 多様な考えに関心をもち検討し合えるような指導の在り方を工夫する。
・ 認知の型,表現特性等を生かした「価値の内面的自覚」の在り方を工夫する。
・ 道徳性の基盤となる基礎的・基本的な内容を自分自身を見つめ直す視点として自覚させ,柔軟で調和のとれた道徳的実践力の育成を目指す。
・ 多面的,多様な考えを検討吟味する中で,児童生徒一人一人に「その子らしさ」を自覚させ,生活の中で生かしていこうとする意欲を高める指導の在り方を工夫する。
・ 長期にわたる意図的計画的な指導の中で,「その子らしさ」を発見させ生かす学習活動を繰り返すことによって,「その子らしさ」をさらに伸ばしていく。

 学習指導の場面で,教材内容と学習活動のかかわりから,事前にとらえた「よさ」を生かしながら多様な学習活動を組み込んでいく。

 「よさ」を生かすためには,児童生徒一人一人の興味・関心,能力,適性等に応じた教材,題材の選定や学習課題の設定が大切になる。また,学習形態についても,個別指導,T−Tによる指導,グループ学習等,児童生徒が多彩な学習活動を展開できるようにする。

○ 「よさ」の意識化

 児童生徒に自分の「よさ」を意識化させるためには,自分で自分の「よさ」に気づくことだけでは不十分であり,友達や教師など他からも認められることが重要な要素になると考えられる。

 そこで,教材,題材内容と学習活動とのかかわりから,児童生徒一人一人の持つ「よさ」を意識化させる多様な学習活動の場面を指導計画の中に位置づける。この繰り返しが,児童生徒一人一人の「よさ」の自覚につながると考えられる。

○ 「よさ」を伸ばす

 児童生徒一人一人の持つ「よさ」は,一つの単元の学習やその領域の学習の中に顕著に表れてくるとは限らない。「よさ」が断片的に表れてくることもあろう。したがって,長期的な見通しを持って,児童生徒をじっくり見つめ,地道な観察を通してその子の「よさ」を認めていくことが必要になってくる。

 その上で「よさ」を生かしながら,適切な教材,題材で意図的な学習指導を繰り返すことによって,「よさ」が伸ばされ,育てられるものと考える。

<3> 「その子らしさ」を育てる学習指導の段階

○ 「その子らしさ」の把握・意識化

・児童生徒の生活全般についての「その子らしさ(自分らしさ)」を親,教師,児童生徒の三者の目から調査し,把握する。また,児童生徒にも調査結果を示し,自分を見つめる手がかりにさせる。

・授業で取り扱う価値に対する事前の意識調査を実施し,価値についてのその子らしい見方や考え方を整理させ,自分を見つめる視点を持たせる。

○ 「その子らしさ」を生かす

・道徳の時間の指導の中で,事前にとらえたその子らしい見方や考え方,問題状況に対するその子らしい見方や考え方を生かしながら学習が展開できるよう工夫する。

 その際,自分を多面的に見つめることができる


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