研究紀要第83号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第4年次」 -036/123page
<図1−2> 「よさ」や「その子らしさ」を育てる学習指導の基本型
よう,次の段階を重視し工夫していく。
・問題状況に対する自分の考えをしっかり持たせる段階
・それぞれの考えを相互に交流する段階
・よりよい考えを求めて,それぞれの考えを比較,吟味,検討し合う段階
○ 「その子らしさ」の自覚化
・「その子らしさ(自分らしさ)」をしっかり心に刻み,生活に生かしていこうとするには,「それまでの自分」を検討し深く自分を見つめることが重要な要件となる。
そこで事前にとらえた「自分らしさ」や授業で明らかにした自分らしい見方や考え方を,「自分を見つめる視点」として有効に働くような学習場面を設定していく。
○ 「その子らしさ」を伸ばす
道徳の時間で育てていく道徳的実践力は,内面的資質を意味しており,生活の中で道徳的な実践となって表れその高まりが確かめられる。したがって,自分を深く見つめ,自覚された「その子らしさ(自分らしさ)」は,日々の生活の中で発揮され反すうされて伸ばされていくものと考える。
5.本年度の研究教科等と実践研究の方向
(1) 研究教科等
従来,できるだけ多くの教科についての実践研究を提供するという考えから,毎年教科を変えて進めてきた。本年度は,次の教科と道徳について協力校との連携を図りながら実践研究を進めた。
○ 小学校算数科(福島市立鎌田小学校4年生)
○ 小学校道徳 (国見町立藤田小学校5年生)
(2)実践研究の方向
前年度までの研究成果についての検討,見直しをもとに,本年度は各教科の実践に道徳の時間の実践を加え,更に研究内容,方法をより深める方向で,次のような課題を持って実践研究にあたった。
○ 「よさ」や「その子らしさ」の把握については,資料の収集,整理が指導者の負担過重にならないよう把握の仕方を工夫する。また,それらが児童の意識化に有効につながるような手だての工夫を進める。
○ 「よさ」や「その子らしさ」を生かす学習指導の在り方と指導形態を更に工夫し,その効果的な在り方を追究する。